千春の誕生日!⑩-1/2

「ただいまー!」

「おかえりチー。」

「・・・。」

 部屋に戻った千春達は、部屋にはいるなり無言になる。


「チハルちゃーんお誕生日おめでとうー!」

「主役きた!こっちおいでー!」

 ミオ母美咲とレナ母麗子が千春を呼ぶ。


「あらあら、チーちゃん新しいお友達かい?」

 文恵はエプロンを着けて厨房から出て来る。


「あ・・・うん。」

 ワラワラと動き回る人達に呆気に取られ千春は答える。


「お母さんいつ来たの!?」

「ちょうどミオが出た後よ。」

「ママなにしてんの?」

「料理だけど?」

 美桜と麗奈が聞くと、さぞ当たり前でしょうと言わんばかりに答える2人。


「えっと・・・うちのお母さんは?」

 頼子は2人に問いかける。


「今アイさんと一緒に買い物言行ってるわよ~。」

 パタパタと動き回るママさんズ、千春はグレイスをソファーに座らせ自分も座る。


「あの・・・この方々は?」

「えっと、ミオ達のママだよ。」

「お母様方ですか。」

「うん、何故か来てるね。」

 不思議そうにママさんズを見るグレイス、その横に申し訳なさそうに座っている兄のダニオ。


「ま、気にせず寛いでて、サフィー着替えて良いー?」

「良いですよ、フミエ様呼びますね。」

「へ?」

「ヨリ達も一緒に行きましょう、サリナ、モリー行きますよ。」

「はい。」

「はーい♪」

 サフィーナはテキパキと指示をする、そして文恵も連れ部屋を移動した。



----------------



「兄さま。」

「・・・。」

「これはいったい。」

 グレイスは部屋の中、そして庭を見ながら呟くと、ダニオも同じように呟く。


「わからない、こんな事聞いていない。」

 ママさんズと一緒に動き回る妖精達、そして外にはドラゴンの上に乗って庭を飾り付ける木の動物達、精霊や軍隊蜂が飛び回り楽しそうにしている。


「ココはジブラロールの王宮・・・だよな?」」

「ただいまー!」

「トモミおかえり!」

「お疲れさまー、荷物は?」

『私が持ってるわよー♪』

 アイトネは荷物を空間から取り出しテーブルに並べる、主に食材のようだ。


『あら、あなた達チハルに連れて来てもらったのね。』

「は、はい!グレイス・リアントと申します!」

 ソファーから立ち上がる、直感でこの人物に無礼は出来ないと感じたグレイスは礼をする。


『ウフフ、緊張しなくても良いわよ。』

「グレイスの兄、ダニオ・リアントと申します。」

『チハルと仲良くしてあげてね。』

 ニッコリと微笑むアイトネ、そしてママさんズと一緒に厨房へ移動した。


「兄さま・・・。」

 グレイスがダニオに声を掛けようとすると庭が賑やかになる。


「チハル王女殿下は居られますか。」

 綺麗なドレスを着た女性と、男性、その後ろからも青年と女の子も付いてくる、部屋に入ると声を掛けて来た。


「只今御召替えされております。」

 侍女のナッテリーが丁寧に答え、新たに置かれたソファーに促す。


「あら!いらっしゃいイショナさん!」

 日葵の母、梅乃がイショナに声を掛ける。


「皆様いらっしゃったのね。」

 ブルーワグ国の王妃イショナは嬉しそうに言う。


「お祝いをお持ちしましたのよ。」

「あらー、チハルちゃんも喜ぶわ~♪」

「何処に置けば良いのかしら。」

 部屋の一角に山積みされたプレゼントをみながらイショナが呟く。


「もうすぐ戻って来るからそこに座って待っててくれるかしら?」

 梅乃は気さくに話しかける。


「君達はチハル様やヒマリの友達か?」

 男性が話しかけると、ダニオはまた立ち上がり自己紹介をした。


「俺はファーグス・ジル・ブルーワグだ、よろしく頼む。」

「ブルーワグ国王陛下でございますか!?」

「あー、それは気にしなくて良い、ここではそんな肩書きなんぞ何にも役に立たないからな。」

「そうね、女神様に聖女様、神の眷属様にドラゴン、外には精霊や、ドライアド様までいらっしゃるわ、国王なんて肩書きは役に立たないわね。」

 イショナも苦笑いしながら言う、それを聞いたグレイスとダニオは言葉にならず見つめ合った。








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