トレントの里で果物狩り!
「こちらです~♪」
トレントの里に戻った千春と頼子はアルラウネ達に案内され森の中を歩いていた。
「甘い匂いがしてきたな。」
ルプはスンスンと嗅ぎながら呟く。
「ココから先にありますっ♪」
頭に可愛い花を付けた子供姿のアルラウネは指を差す。
「おー!!!!」
「でっけぇ!!!!」
千春と頼子の目の前には木になっている果実を見て驚く。
「こいつはでけぇな。」
「食べ応えありそうばい。」
「これは食べきれないにゃぁ。」
「ミタマ、頑張ってたべて。」
「むりにゃー!」
ルプの頭の上で言うビェリー、大きくなった三珠に乗った彩葉が後ろから言う。
「それじゃビェリー達グループ、ヨリグループ、私で別れるよー。」
「りょ~、モリーちゃんラルカちゃん一緒行こー。」
「了解でっす!」
「はーい。」
「んじゃサフィー、サリナ行こうか。」
「そうですね。」
皆はそれぞれ分かれて果実の収獲を始めた。
「みてこのブドウ、一粒がリンゴくらいあるよ。」
「大きいですねぇ。」
「アルラちゃんなんでこんなに大きいの?」
「マナが豊富なのと私達が育ててるからよ。」
「あ、育ててるんだ。」
アルラウネをアルラと呼び話す千春は大きなブドウを収獲する。
「あっちにも別の果物あるわよー♪」
アルラウネは楽しそうに教える、千春は大きなブドウをアイテムボックスに入れ次の果実を取りに向かった。
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「モリーちゃん次あれー。」
「はーい、ラルカちゃんいくよー。」
「はーい!」
モリアンは中腰になり手を組む、そこにラルカが足を置き踏ん張る。
「うりゃぁ!」
「とー!」
腕を跳ね上げるモリアン、ラルカはその反動で飛び上がり木の上に上る。
「落としまーす。」
「ほーい。」
ラルカはナイフでビーチボールのように大きなオレンジを切り落とす。
「ほい。」
頼子は影にそのままオレンジを入れて行く。
「はい次あれー。」
「はーい。」
ラルカはそのまま枝を伝わり次々と果実を切り落としては頼子が回収していく。
「次はあっちだよ。」
頼子達を案内するリスのようなトレントが先を指す。
「ほいよー。」
トレントに連れられ次は巨大なリンゴを見つけ収獲を始めた。
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「ふむ、魔力が高いな。」
「そやねー、魔力で大きくなったんかいな?」
「多分そうにゃー。」
「ミタマあれおいしそう。」
彩葉は三珠に指を差した果実は地面から大きくせりだしたパイナップルの様な果物だ。
「大きすぎるにゃぁ!」
「別に全部食えとは言ってねぇだろ、ビェリー頼む。」
「おっけーばい。」
ルプは風魔法で根元を切り裂くと実をビェリーが回収する。
「ふむ・・・あっちは酒っぽい匂いがするな。」
「果物が発酵しとるんかいな?」
「お酒にゃ?」
「どうだろうな、行ってみるか。」
ルプは先頭を歩き匂いのする方へ進んでいくと洞穴があった。
「ココだな。」
「なんおるばい?」
ビェリーは洞穴の方をのぞき込むと呟く。
「どちら様ですかぁ~?」
奥から出て来たのは足がタコの様にウネウネ動く花の精霊だった。
「ココから酒の匂いがしたんでな。」
「お酒ですかぁ~?ありますよぉ~?いりますかぁ~?」
「お?貰えるのか?」
「長のお客様でございますならぁ~ぜひぜひぃ~♪」
「お前は精霊にゃ?」
「トリフィ~ドで御座いますぅ~。」
「初めて聞く種族だな。」
花の精霊を見ながら呟くルプ。
「こちらがぁ~果実酒ですぅ~。」
石で作られた壺に葉っぱの蓋をした物を持ってくるトリフィード。
「おぉ、果物で作ったと言ってたが、何の果物を使った酒なんだ?」
「色々ですぅ~。」
「植物の精霊達はお酒飲んで酔うにゃ?」
「トレント様達は酔われますぅ~。」
「へぇ、ラムンディも酔うなら一緒に飲めるな。」
「結構呑まさんといかんばい?でかいけん。」
「またお酒にゃー?」
「お酒は美味しくないですわ。」
「そりゃ味だけしか分からねぇ彩葉は美味さが分かんねぇだろうな。」
笑いながらルプは答え、石の壺を幾つも貰いホクホクのビェリーは影に収納する。
「それじゃそろそろ千春達と合流するか。」
果実集めに飽きて来たルプはそう言うとトリフィードに挨拶をし洞穴から出る、そして千春の気配を探し歩き出した。
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「はぁ~しっかしデカいなどれもこれも。」
「大きいですね、こんなに採ってどうするの?」
「フルーツケーキにパフェもいいなぁ、ドライフルーツにしても良いし、タルトもいいなぁ。」
「おいしそうね。」
「美味しそうですね。」
サフィーナとサリナは微笑む。
「あ!そうだ!部隊の子って女の子ばっかりじゃん?」
「えぇ、王女殿下の部隊ですからね、男性だと困る事もありますから。」
「・・・私何処まで監視されて警護されてんの?」
「隅から隅までです。」
「一日中ですね。」
「・・・寝てる時は流石に居ないよね。」
「「・・・・。」」
「おるんかーい!」
「・・・まさかトイレも?」
「・・・・。」
「見てはいませんよ?」
「いやぁ!流石にそれは嫌ぁ!今度から用を足してる時は警護禁止!!!!」
叫ぶ千春に2人は苦笑いをする。
「チハル様、妖精達からの連絡で皆さま集まって来てるようです。」
アルラウネは花びらをパタパタしながら千春に言う。
「お、んじゃこっちも合流しようか・・・お?あそこにもあるじゃん。」
千春は地面からぴょこっとでた枝に付いた握りこぶし程の真っ赤な果物を見る。
「あれ何だろ。」
千春はそう言うとテテテ~と小走りで近寄る。
「チハル様!それは果物ではないです!」
「へ?」
アルラウネが千春に向かって叫ぶ、すると真っ赤な果実はぱっくりと真ん中から割れ千春に襲い掛かる。
「うぉおっ!?」
「チハル!」
「チハル様!」
サフィーナとサリナが一瞬で千春の横に来るが千春は真っ赤な果実を叩き落とす。
「うりゃぁ!」
ペチッ!
「チハル!大丈夫!?」
「申し訳ありません!油断しておりました!」
「大丈夫だよ、ルプがこっそり結界張ってたの知ってたし。」
そう言うと千春は叩き落として動かない真っ赤な果実を摘まむ。
「アルラちゃんこれ何?」
「フォルギネーと言う植物です。」
「魔物?」
「いえ、タダの植物なのですが、生き物に噛みついて栄養にするんです。」
「あー食虫植物的なやつかぁ・・・で、美味しいの?コレ。」
摘まんだ実をプラプラ見せながら言う千春。
「どうでしょう、私達は食べようとも思わないので。」
「そっか、鑑定・・・。」
千春は実を鑑定する。
「・・・マジか。」
「どうです?」
「めっちゃ美味いらしい。」
「コレがですか?」
「うん、毒も無いし甘くて美味って出たよ。」
「・・・チハル様食べるんですか?これ。」
「・・・美味しいなら食べてみたいけど・・・うん、ちょっと採って行こう。」
そう言うと千春はいくつか実ったフォルギネーに近寄る、フォルギネーは次々と千春に襲い掛かるが千春はペチペチと叩き落としアイテムボックスに入れて行く。
「チハル慣れてません?」
「動物に比べたら遅いし私虫叩き落とすの得意なんだよね~♪」
そう言うと叢(くさむら)の中へ足を踏み入れる。
「アルラちゃーん、これまだ居るかな?」
「はい!えっとこっちです!」
アルラウネに言われ行くと疎らだがフォルギネーが生えている。
「サフィー、サリナも採ってー。」
「了解です。」
3人は皆が集まるまでフォルギネーの実を叩き落としながら収獲していった。
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