季節外れなお花見!

ジュワァァァ


「いいね重曹。」

「ドーナッツって作れるんですね。」

 千春はドーナッツを揚げ、モリアンがのぞき込む。


「そりゃ作れるよ、重曹が手に入ったからねー。」

「チハル、チョコが溶けました。」

「はーい、モリー揚がったドーナッツにチョコを付けてね。」

「了解でっす!」

 次々と成形されるドーナッツを千春は二つのフライヤーで揚げて行く。


「こっちのツブツブはなんですか?」

「スプレーチョコって言ってお菓子のトッピングだよ。」

「カラフルですねー。」

 チョコを付けるとパラパラと振りかけ並べて行く。


ピロン♪


「あ、ヨリ達帰って来た!サリナちょっとドーナッツ見ててくれる?」

「了解しました。」

 千春は門を通り日本へ戻ると頼子達を迎え入れる。


「おかえりー。」

「ただいまー、冷食も結構買って来たよ。」

「あざまーす、レンチンはこっちでお願い。」

「ういっす、うちがこっちやるわ。」

「わたしも手伝う。」

「ウチらはあっちで準備するね。」

 それぞれが役割分担し花見の準備をする、そして異世界に入り千春はまたドーナッツを揚げる。


「チハル、ここら一帯に結界を張っておいたぞ。」

「ありがとーロイロ、やっぱり寒いからねー。」

「うむ、儂らは気にせんがのぅ。」

「酒呑むけんね。」

「寒い中で熱燗も行けますよねー。」

 ロイロとビェリー、そしてコンが楽しそうに話す。


「チハル王女殿下。」

「はーいはいはい!・・・はい?」

 千春を呼んだのは第二騎士団のヘンリー・アバレンだ。


「あれ?ヘンリーさんどうされました?」

「はっ!その!・・・サクラが花を付けたので・・・その、貴族の方々よりお願いが届きまして。」

「・・・あぁぁ!!!もしかしてアレ!?」

「はっ!ご察しの事だと思われますが、如何なさいましょう。」

「ん~みんなに見られてても良いならOKだよ。」

「了解しました、王女殿下の邪魔にならぬ様に注意致しますので!」

「良いよ良いよ、真下だと花見えないからちょっと離れるし。」

「それではご準備の方を騎士団もお手伝いさせて頂きます!」

 ヘンリーはそう言うと騎士団の男達を使い、桜の木から少し離れた場所に宴会場の準備を始めた。


「アレって何?」

「告白たーいむ。」

「あー、アレか。」

「そ、第一号はミオだったよね。」

「うっ!やめて!恥ずかしい!」

「ほら旦那来てるよ。」

 麗奈が指差す方を見るとエーデルが騎士団を連れ貴族と話しをしていた。


「エーデルさん呼んでおいでよ、人員整理は部下に任せれるっしょ、モリー。」

「はーい?」

「貴族さん達の窓口ヨロ。」

「あ、その設定生きてるんですね。」

「設定言うなし、そもそも桜の下で告白したらって広めたのモリーじゃん。」

「そうですけどぉぉぉ、私も花見したいです!」

「はいはい、ちゃんと残しておくからやっておいでー。」

「はーい。」

 モリアンはエーデルの所に行くとテキパキと貴族に話しをしていく。


「さ、こっちはこっちで楽しもう。」

「千春、レンチン組の食べ物運ぶよー。」

「うぃーっす。」

 次々とレンジアップされる食品を異世界に持ち運び準備を進める。


「はい、これが最後。」

「お、お酒も届いたんだね。」

「うん、さっき来たよ。」

「サンキュー。」

 大愛から酒を受け取り皆は異世界に戻る。


「チハル様差し入れで御座います。」

 ドライアドが酒瓶を沢山持ってくる。


「これミード?」

「はい。」

「ありがとー、ロイロー、ルプーお酒届いたよー。」

「おぉー!ビェリー運ぶぞ!」

「まかせりー!」

「僕も手伝います!」

 ペット組は意気揚々と酒を手に取りテーブルに並べて行く。


「チハル、ドーナッツはこれくらいで言いの?」

 サリナとラルカ、マクリ、そしてコラリーとドロテの普通の侍女も手伝い大量のドーナッツを運ぶ。


「うん、それはそっちの妖精ちゃんテーブルにお願い。」

 妖精達は桜の木の周りをフワフワと飛びながら遊んでいる。


「チハルおねえちゃん!」

「はーいユラいらっしゃーい、お菓子作ったから皆呼ぶ?」

「よぶ!」

「呼んでおいでー。」

「はーい!ルルいこっ!」

「まかせてー♪」

 ユラと妖精のルルはスキップしながらフェアリーリングに飛び込み消える。


「さ、それじゃお花見しますかぁ。」

「いやぁ、やっぱ凄いわ桜。」

「桜ちゃんは?」

「あそこ居るね。」

 麗奈が指差す所を見る、木の上の方でアミ達と話しをしている。


「桜ちゃん軍隊蜂と話し出来るんだ。」

「アミ達って桜の保護してたらしくてさ、話せるようになって嬉しいみたいだよ。」

「保護?」

「ほら、桜ってめっちゃ虫付くじゃん。」

「つくね。」

「アミ達が駆除してたらしいよ。」

「へぇ、王都の桜も出来るのかな?」

「うん、大丈夫だってさ。」

 軍隊蜂の飼い主麗奈が答える。


『チハルーただいまー。』

「おかえり~・・・・えぇぇぇぇ!!!!!」

 アイトネが日本にちょっと行ってくると姿を消し帰って来た、そしてその後ろには。


「はぁ~ヨリちゃん。」

「お母さん!」

「ママ!」

「え?今日用事あるって言ってたじゃん!」

「えーアイさんに呼ばれたら来るでしょ?」

 頼子達の母智美や美桜、麗奈の母美咲と麗子、そして青空達の母、碧、琴葉、梅乃がゾロゾロと出て来る、さらに後ろからは。


「へぇ、これがアイちゃんの世界ねぇ、マナが豊富ね。」

「ほんと、凄いわぁ、あ、コン楽しそうね。」

「かめきちー元気にしてるー?」

「あら、本当に咲かせたのね、綺麗だわ。」

 天照大御神、宇迦之御魂、迦具夜比売命、木花咲耶姫が現れる。


「アマテラス様!ウカノ様!カグヤ様!サクヤ様も!」

「「「「お邪魔するわねー。」」」」

 4柱は千春に手を振りながら庭に出る。


「あら、あの人達は?」

 木花咲耶姫は並ぶ貴族を見て千春に問いかける。


「えっと、日本のゲームの桜の下で告白したら叶う的な話を真に受けちゃいまして。」

「へぇ、その伝説今もゲームで生きてるのね。」

「へ?」

 木花咲耶姫は微笑む。


「私縁結びと安産子宝の神よ?」

 微笑みながら木花咲耶姫は答える。


「アイさん、すこーしだけ力使って良いかしら?」

『いいわよ~♪』

 木花咲耶姫はアイトネの許可を取ると桜を呼ぶ、そして手を繋ぐ。


「縁を繋ぐお手伝いよろしくね。」

『はい!木花咲耶姫様、お承りました。』

「えっとー、もしかして縁結びが本当になった・・・的な?」

 千春はおそるおそる問いかけると微笑み返される。


「うん、私は見なかった。」

「ウチも見てない。」

「し~らないっと♪」

「あーいそがしい、いそがしい。」

 JK達は思いっきり見て聞いていたがその場から離れた。


「うん、ママさん達とアマテラス様達はこちらにどうぞ♪」

 そして4柱を席に促し自分も席に着く。


「はい!勝手に始めちゃっていいからね!」

 サフィーナ達は千春にジュースを渡す、ユラもイーレン、ルペタを連れて来て妖精達のテーブルで楽しそうにしている。


「それじゃカンパーイ!」

「「「「「「「カンパーイ!」」」」」」」

 女神、聖獣、妖精族、トレント族、そしてママさんズとJK軍団のお花見が始まった。






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