王都に花を咲かせましょう!

 JK達7人は貰った杖を弄りながら話をしていた。


「ラムンディさんレナの杖は強化してあるんですよね?」

「あぁ、我の身だ、魔力も共有しておる、何か有れば、我を召喚する事も出来る。」

「マ?ラムンディさん召喚出来るの?」

 麗奈は驚き聞き直す。


「どれだけ遠くに居ようが、この世界の地上であれば、間違いなく応じよう。」

「地上?それって世界樹的な何か?」

「その通りだ。」

「凄いね、桜の杖は何か効果あるの?」

 そう言うと千春は桜の木の精とラムンディを見る。


『魔力を通せばそこらの木よりも固く折れる事は無いと思います。』

「おー、凄いね。」

『それだけです。』

「丈夫なだけでも良いよね、伸縮出来るのも有難いわ。」

「これ本数多いけど、サフィーちゃん達の分もある感じ?」

『はい、いつもお出かけを見ていました、サフィーナ様、モリアン様、皆さまの分も作っていただきました。』

「だってー、はいサフィー皆にくばってあげてー。」

「有難うございます。」

 サフィーナは受け取ると、サリナ、ラルカに渡す。


「ココに魔石入れるんだね。」

「これで箒はおさらばか。」

「アレはアレで味があって良かったけどね。」

「魔女っぽいもんね、箒で飛ぶと。」

「マクリの分は?」

「マクリは魔力少ないし、移動する時はイーが居るから。」

「イー?ドラゴンのイー君?」

「そ、マクリの送り迎えはイーがやってるんだってさ。」

「へー、仲良いの?」

「めっちゃ仲良い。」

 マクリを見ると顔を赤らめながらオロオロしている。


「そういやぁイーって番い居ないよね。」

「うん、アルとサンはレフトとライトが番いだからね。」

「へぇ~、そうなんだぁ~♪」

 青空達はそう言うとマクリを見る、マクリはウニャァァァ!と言いながら椅子の後ろに隠れてしまった。


「チハル、メグ様が来られましたよ。」

「およ?ハルトじゃなく?」

「はい。」

 サフィーナはそう言うと扉の前に行く、それと同時にノックが鳴りサフィーナは扉を開ける。


「チハルさん!王妃殿下をお連れしました!」

「ハルトは?」

「はい!王妃殿下に丸投げされました!」

「うぉぃ!それ言っちゃダメな奴でしょ!」

「聞かれたので言いました!てへっ♪」

 笑顔で答えるモリアン、マルグリットが入って来るとシュタっと直立する。


「チハル、聞いたわよー、エイダン倒れちゃうわよ?」

「あ、お父様の方にも話行ったんですね。」

「えぇ、そのうえで私に話が回って来たわ。」

「え~・・・ごめんなさい?」

「良いのよ、チハルがやる事は王国の為になってるもの、ただ突拍子もない事ばかりだけどね?」

 フフッと笑いながらマルグリットは千春の横に座る。


「え~っと?この方が木のドラゴン様ね。」

「様は要らぬぞ、チハルの母であろう?」

「私はマルグリットと申します、お名前は?」

「ラムンディだ。」

「ラムンディさんよろしくお願いしますね、それでこちらの子が桜の子ね。」

「はい、桜の木の精、桜ちゃんです。」

「名前付けたの?」

「いえ、桜の木の精が長いので私が勝手に呼んでます。」

 えへへと笑いながら言う千春。


「また契約してないでしょうね?」

「あ・・・してないよね?」

『大丈夫です。』

「よかった、あぶなー。」

「うっかりはモリーちゃんだけで良いんだよ千春。」

「それな~。」

「たまにうっかりさんだからなー。」

「そのうっかりで王様の胃を破壊してんだけどね。」

 ゲラゲラと笑うJK達、そして本題に入る。


「それで、桜の並木道を作るって話を聞いたのだけど。」

「はい、桜ちゃんの種を使って並木道つくろっかって話をしてました。」

「良いわね、春になればまたあのピンクの花が咲き乱れるのね。」

「はい、王都の街に咲かせたいなって思ってます。」

「そうねぇ、大通りには植えたいけれど、何処に植えようかしら。」

「王都の道路は右側通行ですよね。」

「別に決まってないわよ、商人達が暗黙の了解でそうしてるだけだもの。」

「そうなんです?結構広いので道の中央に植えていければ良いかなーって思ってます。」

「そうね、改めて規則を作りましょうか。」

 フムフムとマルグリットは考えながら言う。


「エンハルト殿下が御出での様です。」

 そう言うとサリナが扉に立つ。


「千春の侍女ってすごいよね、ノックが鳴る前から誰が来てるか分かるとか。」

「まぁ・・・特殊部隊の人達だから。」

 そしてノックが鳴るとサリナは扉を開ける。


「お待たせ、母上もう来られたのですか?」

「えぇ楽しそうな話だったもの、良いでしょエイダンとハルトが私に丸投げしたんだから。」

「うっ・・・まぁ一番話が早く進むと思いましたので。」

 エンハルトはチラリとモリアンを見る、モリアンは目を合わせず横を向いている。


「王都の地図を持ってきました。」

 エンハルトはマルグリットと千春の前に地図を広げ話し始める。


「母上は何処に植える予定で?」

「大通りは外せないわよね。」

「ココですね。」

 エンハルトはペンを走らせる。


「ハルト、中央公園も植えて大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ、大きく取ってあるからな。」

 そして地図に植える場所を書き込んでいるとアイトネが帰って来た。


『ただいま~♪』

「おかえりー、アイトネいきなり呼ぶの無しだよー。」

『あら、世界樹の種から生まれた桜だもの、私の子みたいな物じゃない?お願い聞いてあげたくなっちゃうわよ。』

 桜の木の精を見ながら言う。


「そりゃ話早かったけどねー。」

『何してるの?』

「王都に桜の並木道作ろうって話してたの。」

『いいわね~♪あの綺麗な花が咲き乱れるのね。』

「うん、花見とか出来たらいいよね。」

『花見?』

「そ、日本じゃ桜を見ながら美味しい物食べたりお酒呑んだりするんだよ。」

 千春が言うとアイトネの目が変わる。


『さ、植えましょう!』

「うん、その植える所考えてるんだよ。」

『早く決めてちょうだい♪私が直ぐに咲かせるわ♪』

「アイトネ様、我が手伝う予定だ。」

「私も手伝うのよー?」

 ラムンディとリリがアイトネに言う。


『それじゃぁ皆でやりましょう、リリ1人じゃ無理でしょ?』

「うん、みんな連れて来るわ~!」

 リリはそう言うとフェアリーリングで飛んで行く。


「我も呼んで来るとしよう、抜け駆けはしないでくれよ、アイトネ様。」

 ラムンディもフェアリーリングに入り消えた。


「・・・なんか凄い事になりそうなんですけどぉ?」

「千春、これヤバいやつ。」

「うん、でもまぁいつもの事だし。」

「王都の人達は問題ないっしょ。」

「そうそう、誰の仕業か一発でバレるし?」

「私達が出来るのは!」

「このサクランボを食べて種を出す事!」

「「「「食べろー!」」」」

 青空達はそう言うとテーブルに有るサクランボをむさぼり食う。


「フフフッ、楽しいわねぇ。」

「母上は楽しいかもしれませんが・・・。」

「あら、楽しいじゃない、王都がまた栄えるわよ?」

「そうですね、その代わり父上が寝込みます。」

「体は強いのにねぇ。」

 呆れた様に言うマルグリット、そして植える場所を決めた地図を見ながら話をしているとリリが帰って来る。


「連れて来たわぁ~♪」

 フェアリーリングから次々と現れる妖精達。


「うっはぁ沢山つれてきたねー。」

「チハルの手伝いする人ー!って言ったらみんな付いて来ちゃった~♪」

「あははは。」

 そしてすぐにラムンディが帰って来る。


「連れて来たぞ。」

 ラムンディの後に木で出来た動物がワラワラと現れる。


「あ、シンクルさんも来てる、大丈夫なの?あっち。」

「結界もある、大丈夫だ。」

「そっか、それじゃ種植えにいきますかー。」

「チハル、この地図の場所よね?」

 リリは地図を見ながら問いかけて来る。


「そだよー、種はコレ。」

「みんなー!種持ってー!行くわよー!」

「「「「「わーい!!!!」」」」」

 妖精達は種をそれぞれ持ち次々と飛んで行く。


「我らも行くぞ。」

 トレントの動物達も次々と妖精を追いかけ走り去る。


「えーっと・・・私達する事なくね?」

 頼子が言うと美桜もうんうんと頷く。


「さて、チハルいらっしゃい。」

 マルグリットは千春の手を取る。


「何処に行くんですか?」

「王都が一望出来る場所があるでしょう?」

「・・・お父様の部屋ですか?」

「当たりよ。」

 JK軍団を引き連れながらマルグリットは王宮を歩く、アイトネも楽しそうに付いて来ている。


「ん~エイダン王が倒れる所が間近で見れるのかー。」

 美桜が恐ろしい事を呟く。


「やめてあげてください。」

 千春は苦笑いで言うが、頼子達も容赦なく呟く。


「いや、薬あるから大丈夫っしょ。」

「王都の人達の方が慣れちゃってるよねー。」

「そだね、普通ドラゴンが屋台で焼き鳥食べたり、軍隊蜂が露店で果物食べたりしないもんねぇ。」

「それなー、初めて見た時笑ったもん。」

「リリ達なんて普通に姿現して飛んでるよね。」

「ユラちゃん達もルルとポポとシュシュ連れて屋台回ってたの見たよ。」

 それを聞いたエンハルトは苦笑いをしている。


「さ、着いたわよ。」

 エイダン国王の執務室に到着すると、兵士はギョッとするが直ぐに直立し中へお伺いする。


「帰れ。」

「あら、連れないわねぇ。」

「儂は忙しい!」

「そんな事言わないの、今から面白い事が起こるわよ~♪」

「はぁ・・・なんとなくわかるわ、アイトネ様がいらっしゃるからのぅ。」

 色々と察したエイダンは諦め皆を部屋に入れる。


「こっちよ~♪」

 マルグリットはエイダンをスルーし、王都が一望できるベランダに出ると皆は声を上げる。


「うわぁ!凄い!」

「本当に一望出来る!ひろーい!」

「凄い景色だねー、きれーい。」

 千春は見た事があったが、青空達は初めてらしく楽しそうに言う。


『あら、もう終わりそうよ?』

「え?早くない?」

『妖精達も全力でやってるわね。』

「ありゃ、それじゃお礼を準備しないとかな?」

 千春とアイトネの話を聞いていたのかドライアドが現れる。


「チハル様、準備出来ましたわ♪」

「ドライアドさんも手伝ってたの!?」

「はい、チハル様にはまだまだお礼が沢山残っておりますわ。」

「別に良いのにー。」

 ドライアドはクスクスと笑うとアイトネを見る。


『さ~て、それじゃやっちゃうわねー♪』

「アイトネ!大きくしちゃダメだからね!王都が壊れちゃうから!」

『わかってるわよ~♪』

 アイトネは浮き上がり手を広げる。


『さぁ、桜の子達・・・咲き乱れなさい♪』

 そう言うと王都の至る所が光る、そして大通りや中央公園、開いた土地や広く取られたスペースがピンク色に染まっていく。


「季節外れの桜が舞ってるわ~。」

 千春は王都を見ながら呟く。


『桜ちゃんも咲かせるわよ?』

『はい!』

 アイトネが言うと桜も返事をする、そして王城から見える大きな桜の木もピンクに染まる。


「まだ春来てないのにねぇ。」

「良いんじゃん?春にもう一回アイトネ様に咲かせてもらえば。」

「花見の準備しますか。」

「そだね、コンビニ行く?」

「行こう行こう、チハルコンビニ行こうぜー。」

「おっけ~、お父様有難うございました!失礼しまーす♪」

 ピンクに染まった王都を背に千春達は執務室を出る。


「ふむ、想定内かのぅ。」

 綺麗なピンクに染まった王都を見ながら呟くエイダンの顔は笑みが浮かんでいた。






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