フルーツ沢山、デザート作ろう!

「千春いっぱい採れたよー。」

「ヨリ、こっちも沢山採れたよーん。」

「・・・なにそれトマト?」

 頼子は千春が手にする真っ赤な果実を見て問いかける。


「フォルギネーって言う実だってさ、鑑定したら甘くて美味って書いてたから収獲してた。」

「・・・動いてね?」

「・・・気付いた?」

「そりゃぁパクパクしてたら分かるわ、本当に食べれるの?」

「鑑定を信じるならねー。」

 ぽいっとアイテムボックスに入れるとルプ達もやって来る。


「千春、トリフィードって妖精から酒を貰ったぞ。」

「へぇ~どんなお酒?」

「果実酒だな。」

「ワイン的な?」

「原始的な作り方だったがワインみたいな物だろうな。」

「ほ~、お礼しないとだねぇ。」

「お礼って言ってもなぁ、あいつら何食うとかあるのか?」

 千春とルプが話をしているとアルラウネが微笑みながら答える。


「チハル様、ルプ様、不要で御座います~♪、ラムンディ様を復活して頂いたお礼をさせてもらっておりますから~♪。」

 にこやかに答えるアルラウネ、トレント達もウンウンと頭を振っている。


「それじゃ戻ってフルーツ食べよう♪」

「おっけ~♪」

「ヨリ、コレみてみ~。」

 ビェリーが影から果実を取り出す。


「イチゴじゃん!」

「え?イチゴあったの!?」

「あったばーい。」

「結構実ってたからな、全部摘んできたぞ。」

「全部摘んだらダメじゃん?」

「すぐに次の実が出来るから良いんだとよ。」

 ルプは一緒に居る妖精を見ると頷いている。


「そっか、イチゴかー。」

「イチゴならやっぱりイチゴのケーキじゃん?」

「パフェでもよくね?」

「両方ってのも良いね。」

 千春と頼子はイチゴを見る。


「・・・でもデカいな。」

「私の顔くらいあんだけど。」

 頼子はビェリーから受け取るとイチゴで顔を隠す。


「ホントだ、顔隠れたわ。」

「あはははは。」

「俺らは貰った酒を呑んでみるか。」

「そやね、楽しみばい。」

 ワイワイと騒ぎ森の中を歩く千春達、そして里に戻る事にした。



-----------------



「おかえり、チハル、沢山採れたか?」

「いっぱい取れましたよラムンディさん。」

 外にあるテーブルに千春は取って来たフルーツを出していく。


「・・・フォルギネーが、あるではないか、食べるのか?」

「うん、美味しいって鑑定したら出たから、食べます?」

「我はトレントだ、食事と言う物をしない、すまない。」

「ですよねー、地中から栄養吸うんです?」

「育つ必要が有れば、地に根を張る事もあるな。」

「そっかぁ、作っても食べれないかぁ。」

「妖精達が、果物を食べる、もし作るのなら、妖精達へ、我の復活に力を貸してくれたからな。」

「了解!それじゃ妖精ちゃん達に振る舞いますか~♪」

「おっけ、それじゃ沢山作ろう~♪」

 千春が言うとサフィーナはアイテムボックスからテーブルやシンク、コンロなどを取り出す、サリナ、モリアン、ラルカは慣れた手つきでそれを並べ作業し易い様に場所を作る。


「・・・千春、サフィーちゃん達凄いね。」

「ん・・・うん、私が外でよく作るから慣れちゃって・・・えへっ。」

 テーブルのフルーツを手に取りサフィーナの水魔法で綺麗に洗い並べて行く。


「千春どれから行く?」

「ケーキはスポンジ無いからなぁ。」

「有りますよ。」

「「え?」」

 サフィーナはアイテムボックスから直径20cmほどのケーキのスポンジを幾つも取り出す。


「生クリームは使い切ったので作らなければいけませんが。」

「ミルクはある?」

「はい。」

「それじゃ氷と水をこのボウルにお願い。」

 千春はサフィーナに言うと泡立て器をモリアンに渡す。


「はいモリアン。」

「・・・ハンドミキサーは無いんです?」

「あるけど、ほら。」

 千春は既に猫耳侍女のマクリにハンドミキサーを渡していた。


「マクリ使い方分かりますー?」

「このボタン押すんですニャ?」

 モリアンが問いかけるとマクリは見せながら言う。


「押したら凄い音するからビックリして投げないでね?」

「え!?そうなのですかニャ?」

「ちょっと貸してみて。」

 モリアンはそう言うとハンドミキサーを受け取りボタンを押す。


ビィィィィィィィン!!!!


「ニャぁ!!!!!」

「チハルさんマクリにコレは無理ですよー。」

「ありゃ、でも手でやるのキツイよね。」

「そのキツイの普通に私にさせようとしてましたよね?」

「・・・キノセイじゃん?」

「デスヨネー。」

 笑って返すモリアン、しかし目は笑っていなかった。


「マクリはこっちでやりますニャ!」

 モリアンから泡立て器を受け取ると、低いテーブルに氷水が入ったボウルを置き、そこにミルクの入ったボウルを浮かべ混ぜ始める。


「ニャニャニャニャニャー♪」


カシャカシャカシャカシャカシャ


「おぉー、結構良い速度で回してんね、疲れたら言ってね。」

「了解しました!ニャ!」

 そう言うと楽しそうに生クリームを混ぜ始めるマクリ。


「千春私も手伝うわ、ロボット出して。」

「イロハも?」

「うん、ヨリが色々機能を付けてくれたから手伝えるわ。」

 千春がロボメイドを出すと彩葉は中に入り動き出す。


「ミタマ、ボウル押さえてて。」

「こうにゃ?」

 少しサイズを変えた三珠が両手でボウルを押さえる。


「ヨリ、アレ付けて。」

「おっけ~♪」

 頼子はそう言うと手のパーツを外し丸い手を付け泡立て器を装着する。


「いくわよー。」

 彩葉のロボットはそう言うと手首から回りだす。


「おおぉ!ハンドミキサーじゃん!何この機能。」

 千春は頼子を見る。


「いや、千春のメイドロボならこれくらいの機能いるっしょ。」

「まぁ便利だけどさ、もしかして他にも機能ある?」

「うん、スライサータイプとフードプロセッサー、あとはバーナーとかオプション作ってるよ。」

「すげえな!」

「それがさー、色々作ってたらアリンさんがノッちゃってさ、魔石使って色々作っちゃったんだよ。」

「あー、魔法バカだもんね。」

「そ、ほんとバカ、でも凄かったわ、私が言うのほとんど作れたからね。」

 ケラケラと笑っている間にも生クリームが出来上がりそうだ。


「やば、フルーツ切るよ!」

「おっけ。」

「サフィー、こっちのフルーツはシャーベットにするから砕いて氷魔法お願い。」

「了解。」

「千春、コイツどうするのよ。」

「あ、ちょっと味見しないと何とも言えないな。」

 千春はまだパクパク動いているフォルギネーを包丁でスパン!と半分に切る。


「うわぁ・・・真っ赤。」

「血みたいだね。」

「アルデアは喜びそう。」

 千春はヴァンパイアのアルデアを思い出しながら一口サイズにすると菜箸に一つ刺す。


「モリーちゃーん。」

「はーい!」

「あーん。」

「あーーーーん!」


ぱくっ


「どう?」

「おいひいれふ!」

「よし、毒見おっけ。」


ぶふぅぉ!!!!


「チハルさん!?」

「冗談だよ、食べれて甘くて美味って鑑定で出てるから、味はどう?」

「えっと、食感リンゴで味は柑橘っぽい甘酸っぱい感じです、なんですこれ?」

「モリーは見てなかったね、コレだよ。」

 千春はまだパクパク動いているフォルギネーを手に取ると見せる。


「・・・チハルさん。」

 ジト目で千春を見つめるモリアン。


「こっちの人?達も食べた事無いらしいんだよね、多分食べた人第一号だよおめでとう!」

「えー!!!いらないですそんな称号!」

「さて、私も味見してみますかね。」

「私も食べてみるわ。」

「お、チャレンジャー。」

 千春と頼子はフォルギネーを一口サイズに切って口に入れる。


「ん~・・・何だコレ。」

「美味しいけど、何だコレ。」

「例えが分からないね。」

「モリーちゃんが言った食感リンゴの味はオレンジ?」

「だねぇ、不味くはないね。」

「いや、美味しいよ。」

「問題は何に使うか・・・。」

「シャーベットで良くね?」

「だね、サフィーこれもシャーベットにお願い!」

「了解です。」

 千春と頼子は沢山のフォルギネーを次々とぶった切り、息の根?を止め、早速彩葉に搭載したフードプロセッサーで細かく砕く、そしてサフィーナが氷魔法でシャーベットにした。




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