マンドラゴラを収獲だぁ!
「あの平原です。」
サフィーナが指を差し千春に言うと千春は呟く。
「荒地だね。」
「そりゃ手付けてなきゃああなるっしょ。」
「そうですね、春になれば花も咲き乱れて綺麗な場所なんですけど。」
高度を下げながら平原へ降りて行くとルプ達が帰って来た。
「ココか?」
「なーんもないばい。」
キョロキョロと見まわすルプとビェリー、千春は着地すると箒を片付ける。
「さて、サフィーどこら辺?」
「え~あの大きな木の左側だったと思いますけど。」
サフィーナが先頭を歩き、皆がゾロゾロと付いて行く、森との境目まで来るとサフィーナが地面を見て回る。
「・・・ありませんね。」
「採られたのかなぁ。」
「チハルさん、マンドラゴラは結構似た所に生えますから探せば有ると思いますよ?」
「ほほう、それじゃ探してみよう、で、ヨリどんな葉っぱとか目印あんの?」
「・・・さぁ?」
「ダメだ!今日のヨリは使えねぇ!」
「ひどい!でも聞いてくんの忘れたわ、アハハハ。」
「大丈夫です、私達が分かりますから。」
サフィーナはそう言うとモリアン、ラルカに声を掛け地面を見ながら歩き回る。
「ミタマ、探して。」
「どんな匂いにゃー?」
彩葉が三珠に探すように言うと、サリナもマクリと探しだす。
「マクリ匂い分かるかしら?」
「分かりませんニャ・・・です。」
「そう、良い匂いを感じたら探してみてね。」
「はい!」
皆は地面を見ながら探索していると三珠が反応する。
「・・・美味しそうな匂いにゃ。」
「ミタマそのまま匂い追って。」
「分かったにゃー。」
三珠に乗ったまま命令する彩葉、そしてクンクンと匂いを追う三珠。
「ビェリー匂い分かるか?」
「ん~いろんな匂いがあるけんねぇ。」
「だよなぁ、一度匂いを覚えれば俺も探せるんだが。」
探している皆を見ながらルプとビェリーが会話していると叫び声が聞こえる。
「ありましたぁぁぁ!!!!」
「ナイスモリー!!!」
モリアンの声を聞き千春達が集まる。
「これですチハルさん。」
「・・・これ?」
細い幹に大きな葉が5枚ほど付いた植物が地面に植わっている、周りの雑草は枯れていた。
「うわぁ見つけやすいね。」
「はい、マンドラゴラは周りの草花を枯らすんですよ。」
「マジか、何か毒とか撒いてんの?」
「学校で習ったんですけれど、周りの魔力を吸い上げちゃうみたいで周りの植物に悪影響を与えるそうです、だから畑で植えようと思って植えると数年そこの土地は植物が育ちません。」
「あ、栽培出来ないんだコレ。」
「肥料撒けば良いじゃん。」
千春が言うと頼子も言う。
「ヨリ、こっち肥料を撒くって知らなかったんだよ、こっちに来てから驚いたもん。」
「へぇ教えてあげた?」
「うん、結構収獲上がったって言ってたよ、お父さんが詳しく教えて色々農作業改良中らしいから。」
「うわぁ色々やってそう。」
2人は笑いながら話す。
「誰が抜きます?」
「はーい!私抜きまーす!」
サフィーナが聞くと頼子が手を上げる。
「えーマジで?」
「だって私が言いだっしっぺだもん。」
「そりゃそうだけど・・・大丈夫?」
「耳栓あるから大丈夫っしょ。」
「私がサポートしますから大丈夫ですっ!」
モリアンが手を上げ言う。
「それじゃ私達は離れましょうか。」
サフィーナは千春達に言うと歩き出す。
「へ?2人にするの?」
「はい、周りに魔物も居ませんし2人居れば抜けますよ。」
頼子とモリアンは手を振り千春達はその場から離れる。
「どれくらい離れるの?」
「そうですねぇ、そこの岩辺りまで離れれば大丈夫ですね。」
サフィーナが指差す岩は、頼子達から50mほど離れた場所だ。
「ヨリーーーー!!!!いいよーーーーー!!!」
「・・・・・ほーい!!!!!!」
頼子の声が聞こえ、頼子達を遠くから見守っていると大きな叫び声が平原に響き渡った。
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「モリーちゃんこれ千切れない?」
「大丈夫です、幹を持てばそのまま抜けますから、それじゃ耳栓しましょう。」
「おっけー、何かあれば手上げてね。」
「りょ~かいでっす!」
2人は耳栓をすると魔力を通す、頼子は指でOKとハンドサインをするとモリアンも真似をする。
「・・・・。」
頼子は幹の根元を両手で握るとモリアンも同じ様にその上を持つ、そして後ろに体重をかけ引っ張る。
「・・・・・ギィィィャァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
頼子達は音こそ聞こえないが大きな音による体の振動を受ける、そして振動が消えモリアンを見ると耳栓を外す所だった。
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「・・・うっさ!!!!」
「結構響きますよねぇ。」
ラルカが楽しそうに答える。
「あれって死ぬって言うか鼓膜破れそう。」
「そうですね、生き残っても音が聞こえなくなったって話は聞きますね。」
「すっごい響いたもんねぇ。」
千春とラルカ、サフィーナが話をしていると楽しそうに歩いてくる頼子とモリアンが見えた。
「とったどー!」
「結構大物でしたー!」
2人で抱えて持ってくるマンドラゴラは人型とは言い難いが手足が生えているように見える根がある、胴体部分は頼子の太もも程の太さだ。
「おぉーでっかいねぇ。」
「見た目大根、色はゴボウ?」
「・・・動いてんね。」
「この顔の部分がちょっとキモイ、どっから声出してんだコレ。」
ウニョウニョと手足が微妙に動き、顔の部分は変な凹みがあり顔に見える。
「これどうやって食べるのかな。」
千春が言うとサフィーナが答える。
「ぶつ切りにしてスープに入れたりしますね、ホクホクして美味しいですよ。」
「結構な高級食材なんですよぉ?コレ。」
「魔力を豊富に含んでますのでポーションの材料にもなります!」
サフィーナが言うとモリアンとラルカも答える。
「へぇ~、ちょっと鑑定するね。」
千春は頼子が持つマンドラゴラを鑑定する。
「ふむふむ・・・魔力豊富な大根だ、生で食べると麻痺するらしい。」
「生食不可なんだ。」
「らしいよ、モリーで試す?」
「何で私が試すんですかぁ!?」
「いや、なんとなく。」
ゲラゲラと笑いながら話をしているとルプと三珠、そしてマクリが匂いを覚えている。
「ふむ、あっちから同じような匂いがするな。」
「あっちもあるにゃ。」
「匂いますニャー。」
3人はニヤリと笑い合うと森の中に走っていった、そしていくつものマンドラゴラを発見すると、千春達は交代しながらマンドラゴラを収獲しまくる、そして何度も叫ぶマンドラゴラの声は街道まで響き渡り健国際で集まる商人達が王都で噂話として広めて行った。
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「ジブラロールの南の森から恐ろしい声が何度も聞こえてなぁ。」
旅の商人は居酒屋兼食堂で酒を呑みながら話す。
「なんだ?魔物か?」
「わからん、何度も何度もギャー!って声が響き渡ってた。」
「アレじゃねぇか?マンドラゴラとか。」
「あー、しかしあんな何度も叫ぶか?」
「そうだなぁ、マンドラゴラの周りは草木が生えねぇが丈の高い草が生い茂る中幾つも探すのは骨が折れるからな。」
旅の商人達は情報収集をしながら呑む、そして聞き耳を立てる冒険者が居た。
「・・・どう思う?」
「あぁあの森はマンドラゴラが有るな。」
「間違いないでしょうね。」
「「「・・・・姫様だな。」」」
「あんた達決めつけは良くないよー?」
男3人がウンウンと言っているとユーリンが言う。
「でもユーリン、何だと思う?」
「・・・まぁチハルちゃん達だろうね。」
「だよねー、この前侍女にしたマクリちゃんだっけ、猫だもんね。」
「ミタマちゃんも居るからね。」
「ルプ君も鼻良いもんねー。」
「って事は今晩あたりチハルちゃんの所に行ったら・・・。」
「うん、マンドラゴラ料理食べれるかも。」
ユーリンとシャルルはコソコソと話す。
「そうと決まれば。」
「うん、ロイロさん今あそこ居る?」
「うん、この時間居るね。」
「行こうか。」
「おっけー、それじゃ私ら行くから。」
男3人に手を振り店を出る2人。
「・・・あいつ等姫様と仲良すぎだろ。」
「マンドラゴラ料理か、姫様の手作りだと滅茶苦茶うめえんだろうなぁ。」
「しかもタダと来たもんだ。」
羨ましそうに2人を見送る3人は安酒を呑みながら呟いた。
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