一狩り行こうぜ!

『・・・おー、結構いるのぅ。』

 空から地上を見下ろしロイロが言うと千春も覗き込む。


「いーち、にー、さーん、よーん、ご、5頭?」

『向こうにも何頭かおるが、どれくらいご所望だ?』

「大きいし1頭でも良いんだけど。」

『取り敢えずそいつら狩るか。』

 ロイロはそう呟くとドラゴンが数頭地竜に向かって飛んでいく。


「俺も1匹貰うぞ。」

「ユラ達下さなくて良いの?」

「大丈夫だ、結界張ってるからな。」

 ルプも降りていくと地竜の前に降り立つ。


「おっきい!」

「ルプ様!」

「しっかり掴まってろよ。」

 Tレックスの様な地竜はルプの方を見ると咆哮を上げる、するとドラゴン達も咆哮を上げ、地竜を狩り始めた。


「ふん!」

 ルプは魔力を貯めると雷撃を叩きつける。


「まだ動いてる!」

「流石は地竜って所か、結構耐性あるな。」

 ルプは続けて風魔法で砂を巻き上げ視界を遮る。


「ユラおりた方がいい?」

「いんや大丈夫だ。」

 地竜の回りにまとわりつくように砂埃が渦を巻く、そしてもう一度雷を落とす。


「風雷陣。」

 ルプが呟くと砂埃に混じり雷が地竜の体を駆け巡った。


 ドォォン・・・


「倒したー!」

「ルプ様凄いです!」

 ユラとイーレンはルプの背で拍手をしながらはしゃいでいる。


「回収はビェリーに頼むか、他はどんな感じだ?」

 ルプはドラゴン達の戦いを見回した。



-----------------



「千春、怪獣大決戦だよ。」

「ロイロ、なんでドラゴン達魔法使わずに殴ってんの?」

『遊んでおるのぅ、地竜なんぞに遅れはとらんからの。』

 ドラゴン達はそれぞれ地竜を相手にしているが、魔法を使わずガチンコ勝負をしていた。


「こっち終わったね。」

「あっちも勝負ついたよ、地竜ボッコボコじゃん。」

 美桜と麗奈が実況しながら報告する。


『チハル、大物が来たぞ。』

「大物?ボス的な?」

『この群れのボスかのぅ、儂も遊んでくるか。』

 その地竜はかなりのスピードで走ってくる、他の地竜より2回りは大きな地竜に突っ込むロイロ。


「ちょぉぉぉ!!!私乗ってんんだけどぉぉぉ!!!」

『チハルには結界かけとる!殴られても大丈夫じゃぁ!』

「いやぁぁ!大丈夫でも殴られたかなァァァい!」

 ロイロはそのまま急接近すると右の拳を振り抜き、地竜の顔面を殴りつける。


『どりゃぁ!』


ドゥン!


「ぶぁぁぁ!!!おちっ!おちる!」

『もういっちょぅ!』

 勢いを付けたままロイロは左手で殴りつける、地竜は踏ん張るとロイロに向かって吼える、すると口から大量の炎がロイロに向かってきた。


「ちょぉぉぉぉ!!!」

『ほぅ火くらいは出せるのか。』

 何でもないように呟くロイロ、炎はロイロを避けるように分断され消えた、動きが止まった地竜に追撃がまた入る。


『ウォラァ!』

「ぎゃぁぁぁ!ロイロォォ!」

 太い尻尾を回転させ地竜に当てると、ボス地竜は吹っ飛び動かなくなった。


『ヨシ!』

「ヨシじゃなぁぁぁい!落ちるかと思ったよ!」

『落ちなかったじゃろ?』

「・・・。」

『さて、あっちも終わっとるな。』

 他の地竜を見るとビェリーが収納している所だった。


「これ解体頼まないとなぁ。」

 ボス地竜はママドラよりも大きく、10tダンプと勝負できそうなほどに体も太い。


『イー、コイツを解体できるか?』

 侍女見習いの猫耳マクリを乗せたまま様子を見ていたイーにロイロが言うと頷き、他のドラゴン達と風魔法で切り裂きながら解体を始めた。


「あっさり終わったね。」

「死ぬかと思ったわ。」

 頼子の言葉に千春はぐったりとしながら答える。


「ロイロさん凄いです!」

「凄かったです!かっこいい!」

 人型になり解体を見ているロイロにケンブリットとシュウラスが話しかける。


「地竜なんぞ雑魚じゃからな。」

 満更でもない顔で答えるロイロは様子を見ると言いドラゴンになると、2人を乗せ空の散歩に行った。


「チハル様こちらが地竜の肉で御座います。」

「・・・でけぇ!」

 イーが解体した肉を持ってくる、尻尾の部位で輪切りにしてあるが、千春の胴体よりも遥かに大きい輪切りだ。


「鑑定、げ、マジか。」

「どしたん?」

「いや、生で食べれるわコレ。」

「いや!焼くでしょ!」

「もちろん焼くよ!でも生で食べれるなら色々作れるじゃん?」

 頼子と千春が話をしているとサフィーナが声をかけてくる。


「チハル、ココで料理するの?」

「えぇー、ここ砂埃すごいもん、島に戻って料理・・・いや、これはもう焼くだけで良いな、島で焼こう。」

「他の地竜はどうするの?」

「向こうで解体かな。」

「・・・島があんな風になっても良いの?」

 サフィーナが解体している所を指差すと血の海が出来ている。


「・・・嫌だな!島が血の海とか!」

「千春、素材とか取れそうじゃん、冒険者ギルドか商業ギルドに丸投げしたら?この前みたいに。」

 頼子が言うと、千春はパァっと笑みになる。


「ナイスヨリ!それだわ。」

「チハルさぁぁん。」

「なに?モリー。」

「あの血の価値知ってますぅ?」

「は?知らないけど。」

「地竜の血ってすごく貴重なのでものすごっっっく高いんですよぉ〜。」

 もったいなーいと言いながら呟くモリアン。


「モリー、あの血あげるわ。」

「もう地面に吸われてるじゃないですかぁ!いりませんよ!」

「あと5頭分あるし細かいことは気にしない!」

「あんだけあったらマンガ肉とか作れないかな。」

「上手に焼けましたーとか?」

「いや、アレって思うんだけどあんだけデカい肉火通らないっしょ。」

「チハルマンガ肉作ってよ。」

「やだ、めんどくたい、さ、解体終わったし帰るよ!」

 撤収!と声を掛けると、近くを飛んでいたロイロも降りて来る。


「ロイロ帰るよー。」

『了解じゃ!』

 帰りはロイロの背にケンブリットとシュウラスが乗り、千春はルプに乗る。


「ルプ3人重くない?」

「余裕。」

 フッと千春に笑いかけると勢いよく空に駆け上がるルプ、そして皆は来た時よりも早く島へ帰り着いた。

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