ドラゴンを食す!
「焼けたよー!」
千春達は解体されたボス地竜をバーベキューコンロを数台並べ焼きまくり、整地をしているドラゴン達、そして商業ギルドから派遣された人達に振る舞う。
「これが地竜・・・うまい!」
「こんな物が食べれるとはなぁ、流石姫様の仕事だぁ。」
「こりゃぁ自慢出来るぜぇ!」
「姫様の仕事をしてるだけで自慢出来るってもんだよ。」
ドラゴン達を指示し、区画整理まで行っている商業ギルドのメンバーは大賑わいだ。
「うん、ブラブルとは違う美味しさあるね。」
頼子は大きな串にささった肉に齧り付く。
「なんだろ、牛肉より淡泊なんだけど鶏肉とは違う野性味あふれる味?」
美桜が目を瞑りながらモグモグと食べながら呟く。
「胸肉に近いんだけどジューシーさが牛肉寄りだよね、美味いわ。」
麗奈もモグモグと食べながら言う。
「うまけりゃこまけぇこたぁいいのよ。」
千春も焼きながらモグモグと食べる。
「チハルおねえちゃんおいしい!」
「おいしいねー!」
「チハル様!美味しいです!」
「すっごいおいしいです!」
子供達も串を握り齧り付いている。
「美味しいニャぁぁ・・・です!」
「本当に美味しいにゃ、食べ応えあるにゃぁ。」
「うん、美味しい、ミタマもっと食べて。」
「無茶言うにゃぁ!味覚をマクリに変えるにゃぁ!」
「・・・そうね、マクリ良い?」
「いいですニャ!」
マクリ、三珠、彩葉は3人でワイワイと地竜を味わう。
「・・・モリーどうしたん?」
「・・・あじわってまふぅ。」
「泣きながら食べるとか器用な事するねぇ。」
「地竜ですよ!ドラゴンですよ!この一切れでいくらすると思ってるんですか!?」
「・・・しらない、モグモグモグモグ。」
味なのか値段なのか分からない感動を押し付けて来るモリアンを無視して千春はモグモグする。
「進捗状況は如何ですかな?」
エスカレーターから上がって来て声を掛けて来たのは、商業ギルドマスターのメイソンだ。
「メイソンさんいらっしゃい、進捗は良く分かんないですけど進んでるっぽいです。」
「それは良かったです。」
整地された場所を見回し、納得いったのかウンウンと満足そうに頷くメイソン。
「お食事中に失礼しました。」
「いえいえ、すっごい肉が沢山あったので。」
「それはそれは、うちの者達にまで振る舞って頂けるとは有難うございます、所でその肉は何の肉で?」
「地竜ですよ。」
「・・・・・・・はい?」
「地竜です、さっき狩ってきたんですよ、あ!そうそう、ビェリー!」
「な~~~ん?」
千春は子供の姿でモグモグと肉を食べているビェリーに声を掛ける。
「・・・なんで酒も持ってんのさ。」
「いいやん、美味しいばい?」
「良いけどさ、あ、地竜1頭だしてくんない?」
「んぁーロイロ、影だしちゃらん?」
「ん~ちょっとまて~。」
ロイロは酒の入ったグラスを置くとドラゴンになり翼を広げる。
「ほい!」
影から地竜を出すと、ロイロは直ぐに人型に戻り肉と酒を味わう。
「メイソンさんコレです、あと4頭あるんで解体良いですか?肉は1頭分を王宮に、残りと素材は好きなように使ってください。」
「・・・え~・・・あの、これが合計5頭ですか?」
「はい、ボス地竜は解体して今食べてるんですけど、めっちゃあるんで。」
地竜を見たまま固まるメイソンは反応に困りサフィーナを見る、サフィーナはニッコリ微笑むだけだ。
「あの、チハル様、買取とかでは・・・なく?」
「はい、あ!モリー!血欲しいんだっけ?」
「いりまへん!!!モグモグモグ。」
モリアンは食べながら返事をし、サフィーナからペチンと叩かれていた。
「りょ・・・了解しました、流石に運べませんのでビェリー様に運んでもらう事は出来ますでしょうか。」
「ここですりゃいいやん。」
「えービェリーここで解体したら血の海になるじゃん。」
「チハル様、それは大丈夫です、地竜の血は精力剤として大変需要が御座います、一滴たりとも無駄に出来ません。」
「・・・精力剤なんだ。」
「肉も勿論効果が有ります。」
「肉もなんだ・・・めっちゃ食べちゃったよ。」
話を聞いていた頼子達も『え?』と一瞬動きが止まったが、美味しさには勝てずまた食べだす。
「それじゃここで解体します?」
「はい、そちらの整地された場所をお借りしても?」
「なーんもないので好きな所で解体されていいですよ。」
「有難う御座います、それでは早速手配して参ります。」
メイソンはそう言うと急いで王都に戻って行った。
「サフィー、知ってた?」
「何をです?」
「地竜が精力剤になるって。」
「知ってましたよ。」
「めっちゃ食べてるじゃん。」
「精力が弱い人が肉を食べれば効果出ますが普通の人が食べたくらいじゃ変わりませんよ、血の方は精製してポーションにすれば物凄く効くらしいですけど。」
「ほへぇ~、んじゃお肉は問題無い?」
「無いですね。」
「よっしゃ!もう一本たべよ~っと。」
「チハル、そこに全部出しとってよか?」
「よかー!」
千春は地竜の焼き串を手に取りビェリーに返事をする、そしてまた齧り付く。
「うん!ドラゴンうめぇ!」
千春が大声で言うと、肉を食べていたドラゴン達がビクッとする。
「あ、君たちじゃないからwww。」
「チハルが言うとシャレにならんのじゃよ、はっはっはっは!」
ロイロはドラゴン達の反応と千春を見て大笑いしながら酒を掲げた。
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「ほう、今日はステーキか。」
「はい、チハル王女殿下から届けられた地竜のステーキで御座います。」
「・・・何しとるんじゃあの娘は。」
「そう言えば昼過ぎにドラゴン達がチハルと出かけてたわね。」
「はい、かなりの数を狩って来たからと。」
「ふむ、有難く頂くとしよう。」
「地竜とはいえドラゴンですからねぇ、価値を知ってるのかしら?」
「チハルの事じゃ知らんじゃろ、サフィーナ辺りは知っておるだろうが、言わんだろうなぁ。」
「そうね、それじゃいただきましょう。」
エイダンとマルグリットはそう言うとステーキにナイフを入れる。
「ん~美味しいわ。」
「うむ、懐かしいのう、地竜はこんな味じゃったなぁ。」
「昔何頭か狩ったわね。」
「そうじゃな、結構苦戦したが一度味を知るとまた食べたくなって狩っておったなぁ。」
2人は昔話をしながら食事を楽しむ、そして食べ終わり、満足そうにマルグリットが呟く。
「エイダン、久しぶりに食べた地竜はどうだったかしら?」
「うむ、やはり美味いのぅ、あと20、いや10若ければ儂も狩りに行くんじゃがな。」
「あら、今でも狩れるんじゃない?」
「鍛錬はしておるが、歳には勝てんぞ。」
「フフッ、まだまだ現役って言ってたのはいつだったかしら?」
「それは今でも思っておるわ。」
「ふ~ん、で?どう?」
「・・・ふむ、まぁそうじゃな。」
「フフッ。」
2人は微笑み合い夜は更けて行った。
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