空飛ぶ島!⑥
「ハルトぉ。」
「なんだ?」
「どないしょ。」
「俺に聞くな。」
千春はほっぺを膨らませる。
「取り敢えず持って帰る?」
日葵が管制室のような部屋を見ながら呟く。
「どうやって持って帰るんよー。」
『マスター、移動サレマスカ?』
「あ、動かせるのかぁ、ジブラロール王国まで動かせる?」
『座標ヲ指定シテイタダケレバ可能デス。』
「座標わかんないな、ハルト座標教えて。」
「・・・分かるわけ無いだろう。」
「ロボ君地図ない?」
そう言うとロボ君は部屋の中央にある広いテーブルの前に歩き何やら操作する。
『コチラガ周辺ノ地図デス。』
「おー!凄い!」
テーブル一面に地図が現れるのを見て千春は声を上げる。
「精密ですね・・・ん?これって。」
アリンハンドは地図を見て何かに気付く。
「コレ写真っぽくね?」
頼子も地図を見ながら言うと日葵は地図に近付き目を凝らす。
「これ鳥じゃん!?飛んでるよ!?」
「動画?」
日葵と頼子がロボ君を見る。
『遙カ上空ニ設置サレタ道具デ撮影シテオリマス。』
「衛星かな、アリン場所指定出来る?」
「もっと拡大出来ますか?」
アリンハンドが言うと地図はぐんぐんと縮小され広く表示されて行く。
『コレガ最大表示デス。』
「・・・ダメですね、ジブラロールは写って無いようです。」
「そぅか、アイトネー。」
((なにー?))
「ジブラロールの座標って分かる?」
((えーっと・・・あー、島を手に入れたのね、ちょっと待ってね。))
アイトネの返事を待っていると、アイトネが現れる。
『あら、このロボットあげたの?』
「あげたわけじゃ無いけど、作り直せば良いし取り敢えずね、このロボ君にジブラロールの座標教えたいんだけど。」
『この子の時代表記だと・・・○△△○×△☆□▲▲よ。』
『了解シマシタ、到着マデ53時間45分20秒。』
ロボ君は答える、するとゆららと体が揺れ動き出した感覚を感じた。
「おぉー、ありがとうアイトネ。」
『この島どうするの?』
「どうしよっか。」
千春はエンハルトを見る。
「・・・取り敢えず戻るか。」
「ロボ君は?」
『飛空城塞島管理イタシマス。』
「そっか、んじゃたのんだ!テールカちゃんどうする?」
「どうしましょう、もう帰る所なんて無いもの。」
「んじゃジブラロール一緒に行かない?良いよねハルト。」
「構わないぞ、それに話を聞いていたが、テールカはこの島、いや、この部屋の魔術式を触れるんだよな?」
「えぇ、出来るわ。」
「それなら一緒に来てもらった方が良いだろうな。」
エンハルトが言うと千春はニッコニコでテールカの手を握り締める。
「決まりね!」
「・・・よろしくねチハルちゃん。」
「こちらこそ!」
「千春ーこの壊れた人形持って帰って良いかな。」
ブンブンと手を振っている千春に頼子が言う。
「いるなら持っていって良いわ、そんな立派な人形を作れるんだもの、好きなようにして良いわ。」
テールカは千春に手を握られブンブンされながら言う。
「イロハちゃんの新しいボディ作ってあげないとね。」
頼子はそう言いながら壊れた人形を影に落とす。
『チハル戻るの?』
「うん。」
返事をするとアイトネはさっと手を振る、すると目の前にユラが現れた。
「うぉぅっとただいまー。」
「チハル!島動いてない!?」
「大丈夫かな、どこ行くんだろ。」
美桜と麗奈、そして青空たちがオロオロしている、そして竜騎士達とドラゴンもいつでも飛べるよう待機していた。
「大丈夫だよ、ジブラロールに向かってるだけだから。」
「へ?この島王国行くの?」
「うん、なんか貰っちゃった。」
「「「「・・・。」」」」
ケラケラ笑いながら答える千春に皆は無言になる、そして。
「あー、エイダン王様倒れるわ、。」
「だねー、宰相さんもヤバいかもね。」
「メグ様は笑って流しそう。」
「王様の寿命が削られて行くなぁ。」
好き勝手言う美桜達、つられて笑う頼子と日葵。
「大丈夫!沢山渡してるから!胃薬。」
「「「「「「そう言う問題じゃ無いよ!」」」」」」
総ツッコミされる千春、エンハルトもアリンハンドも苦笑いだ。
「で、帰りはこのまま島乗って帰んの?」
「いんや、到着まで50時間はかかるらしいから先に帰るよ、お風呂とか無いし。」
「お風呂あるわよ?」
テールカが言うが千春は首を振る。
「何も無い所で50時間はキツい!」
「そりゃそうだ。」
「あ!高度下げてもらうの忘れてた!」
「チハルちゃんコレ渡しておくわ。」
テールカは丸い塊を渡す。
「何コレ。」
「あの部屋の通信機に繋がってるわ、離れすぎたら通じないけれど、島の中なら声を届けれるわよ。」
「おー!便利じゃーん。」
千春は通信機を受け取るとロボ君に声をかける。
「ロボくーん、高度を半分くらい下げてー。」
『了解シマシタ。』
「ロボ君って何?」
事情を知らない美桜が問いかける。
「この島動かしてるロボット君、壊れてたからイロハのロボット使って動けるようにしたの。」
それを聞いた彩葉が千春に物言いをつける。
「イロハのろぼっとー!」
「イロハ、大丈夫、材料はたんまり有るから新しいの作ってあげる、どんなの作るか一緒に考えよ。」
頼子が言うと、彩葉もそれならーと納得してくれた。
「それじゃ十分楽しめたし帰りますかぁ?」
「え?もう帰るの?」
「・・・帰んないの?」
「いや、探検したりさ、島見て回ると思ってたから。」
千春は帰る気満々だったが待ったが入る。
「帰るのってアイトネ様が送ってくれるんでしょ?」
『勿論送るわよ?』
「一瞬で帰り着きますよね。」
『えぇ。』
「島見て回ろうよ!せっかく皆飛べるんだし。」
「はいはい、私はココでお茶してるからねー。」
「年寄りかよ!」
「女子高生捕まえて失礼な!」
「私らも女子高生だけどなぁー。」
千春はお花畑でユラ達とのんびり過ごし、お腹が落ち着いた美桜達は箒であっちこっちを探検して日が暮れるまで楽しんだ。
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「陛下どうされました?」
「ん?いや、ちと胃が・・・キリキリしてな。」
「・・・そう言えば今チハルさん遊びに行ってるそうですね。」
「報告では空飛ぶ島に行っておるな。」
「フアナからの連絡は遠すぎて無理の様ですな、移動後連絡が来ませんでしたから。」
「何か有ったのでは無いだろうな。」
「まさか、アイトネ様が付いておられるのです、在りえません。」
「ふむ、な~~~~んじゃろなぁ~~~~~、いやぁな予感がするんじゃが。」
「気のせいですよ・・・多分(ボソッ)」
エイダンはそう言うと薬を飲む、宰相は大樹と打ち合わせと部屋を出て行く。
「・・・ま、帰ってきたら分かるじゃろ。」
そう呟くとエイダンは書類仕事を始めた。
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