お爺ちゃんとお婆ちゃん!
「アイトネお願いしとくね。」
『良いわよ~♪』
「ミオもコン借りちゃって悪いね。」
「大丈夫だよー、ハルト君職質されたら面倒だもんね、お土産よろしくっ♪」
「うん、アイトネもお土産買って来るから。」
『やった♪』
千春はアイトネと美桜にお礼を言うと、着替えを終わらせ出かける準備をする。
「千春、おまたせ。」
「おかえりお父さん。」
「ハルト君は?」
「多分そろそろ来るよ。」
千春と大樹は準備を終え、サフィーナのお茶を飲みながらゆっくりする。
「何時の電車?」
「12時過ぎの新幹線だよ。」
「うぃ~。」
話をしているとエンハルトが部屋へ入って来る。
「タイキ殿お待たせしました。」
スーツ姿で現れたエンハルトは2人に声を掛けて来る。
「おぉ・・・スーツかっけぇ。」
「チハル惚れ直したんじゃね?」
美桜に揶揄われ千春は顔を赤らめる。
「サイズは合ってるようだね。」
「はい、問題ありませんがこのネクタイと言う物の付け方が良く分かりませんでした。」
「ネクタイは別につけなくてもいいよ、お義父さんに会うだけだし。」
「いえ、そちらの正装と言うのであれば付けておいた方が良いのでは。」
大樹とエンハルトが話をしていると千春がエンハルトの前に行き、ネクタイを受け取る
「ハルト付けてあげる。」
「すまないチハル。」
千春はエンハルトの首にネクタイを回すと、器用にネクタイを結ぶ。
「千春ネクタイを付けてあげれたんだね。」
「お父さんがおかぁさんに付けてもらってたの見ててさ~、教えてもらったんだよね~。」
そう言いながらエンハルトにネクタイを締めると、満足そうに頷く。
「おっけ、苦しくない?」
「大丈夫だ、ありがとうチハル。」
千春に微笑みお礼を言うエンハルト、それを見て微笑む大樹。
「それじゃ少し早いけどタクシーを呼んだから出かけようか。」
「ほーい。」
大樹は立ち上がりカバンを持ち上げる、千春とエンハルト、そしてサフィーナ、ルプも動く。
「サフィーも行くのか?」
「行きますよ、私もチハルのお母様にご挨拶したいですもの。」
「俺も挨拶しておかないとな。」
サフィーナとルプはエンハルトにそう言うと一緒に日本へ移動した。
「結構荷物あるね。」
「うん、お爺ちゃんとお婆ちゃんにお土産あげないとね。」
「久しぶりだな~。」
4人は藤井家の玄関前に立ってタクシーを待っていると、見慣れた女の子が走って来る。
「千春!」
「ヨリ!?どうしたの?あっち行くの?」
「いんや、荷物持ちにビェリー連れて行きなー。」
「いいの?」
「うん。」
「まかせりー、荷物くらいわっちがもっていくばい。」
「助かるわ、お父さんの荷物はビェリーが持って行ってくれるって。」
「ほんと?助かるよビェリー君。」
ビェリーは皆の荷物を影に入れるとルプの頭に乗っかり姿を消す。
「それじゃルプ、ビェリー、コンよろしく。」
「おう、任せろ。」
「任せリー。」
「任せてください!」
ルプとビェリー、コンは姿を消したまま答える、頼子は用事がまだあると家に帰り、タクシーが来ると皆は乗り込んだ。
「電車と言うのに乗るのです?」
「そうだよサフィー。」
「車とは違うのですよね?」
「うん、すっごい早いよ。」
「ロイロくらいですか?」
「同じくらいかな。」
「それは凄いですね。」
「本気のロイロだともっと早いらしいけどね~。」
ケラケラ笑いながら千春とサフィーナは楽しそうに会話する、そして暫くすると駅に到着した。
「いやぁ荷物が無いって良いね!」
「ビェリー様様だよね。」
「やろー?任せりー。」
「うぉっ、居たのか。」
「居るに決まってるだろ。」
「走ってタクシーに追いついたの?」
「いや?タクシーの上に乗って来たぞ?」
「・・・そっか、新幹線はどうすんの?」
千春が疑問に思い言うと、大樹が答える。
「新幹線はルプ君に人型になってもらって席を取るよ。」
「え?そうなの?」
「うん、流石に新幹線の上で3時間は無茶だろ?」
見えないルプとビェリーとコンを相手にしながら大樹に付いて行く千春、大樹は人数分のチケットを買い皆に渡す、そして売店でお弁当を買うとホームに向かうと新幹線はホームで止まていた。
「どれ?」
「こっちのグリーン車だよ。」
「え゛、グリーン車なの?」
「ゆっくりしたいじゃないか、さぁ乗ろうか。」
大樹が乗り込み、皆は続いて行く、そして席を見つけるとそれぞれ座る。
「千春とハルト君はそこ、ルプ君とサフィーちゃんはそこに座ってね。」
席に座り暫くすると放送が有り新幹線は走り出す、ルプ達は弁当を喜んで食べ3時間ほどの旅は順調に進んだ。
--------------
「相変わらず田舎だにゃー。」
「こう言う所も多いのですか?」
「いっぱいあるよー。」
田園風景を見ながらサフィーナが呟く、千春はそれに答えながらタクシーに揺られる。
「もうすぐ着くよ。」
助手席に乗る大樹が言う、エンハルトとサフィーナは窓から田園風景を見続けている、そしてタクシーは立派な日本家屋の前に停まる。
「はー、久しぶりだなぁー。」
「ココがお母様の実家ですか?」
「うん、そうだよサフィー。」
「立派な家だな。」
サフィーナとエンハルトは家を見上げながら話をしていると、玄関が開き女性が出て来た。
「いらっしゃいチーちゃん、待ってたわよ。」
「おばぁちゃん!きたよー!!!」
「大きくなったわねぇ、大樹さんお久しぶりね、さぁ中に入ってちょうだい、そこのお二人もどうぞ。」
優しい笑みを浮かべ、祖母は声を掛け中へ促す。
「おじゃましまーす!」
「失礼致します。」
千春が靴を脱ぎ棄て中へ入り、居間に行くと、祖父が座って待っていた。
「よー来たなチー、大きくなったなぁ。」
「久しぶりおじぃちゃん!げんき?」
「元気に決まっとるだろ!バリバリじゃ。」
「あはははは!それはよかった。」
「お義父さんすみません中々顔をだせませんで。」
「何言ってるんだ、男手1つでチーをここまで育てて来たんだ、誰も文句なんぞ言わんわ。」
祖父はそう言うと畳部屋に大きく置かれた座卓へ促す、皆は座布団に座る。
「で?その男ん子がチーの彼氏か?」
「あんた、彼氏じゃなくて婚約者よ。」
「こまけぇこたぁ良いんだよ。」
「エンハルト・アル・ジブラロールと申します。」
エンハルトは座卓に慣れず、ぎこちなく頭を下げる。
「おー、いい男だな、それで?そのべっぴんさんは?」
祖父はサフィーナを見ながら言う。
「あー・・・えっと、私とハルトの・・・友達?」
「ん?友達つれてきたのか?」
「えっと、その、すっごく説明し辛いんだけど、まぁ心の友みたいな?」
「よーわからんな、親友か?」
「うん、そんな感じ?」
困った顔で答える千春に、祖父母は話を変える。
「墓にはいつ行くんだ?」
「時間も有りますから今から行こうかと思ってます。」
「長旅で疲れたろう、明日儂が送ってやるから今日はゆっくりしなさい。」
「そうねぇ、今から行くと帰りは暗くなるわよ。」
「そうですね、そうします。」
「それじゃ荷物を・・・あら?荷物はどうしたの?」
「あ・・・えっと・・・あります。」
「タクシー降りた時から違和感あったのよ。」
「いえ!あの!・・・えーっと。」
大樹と千春はどうしたものかと思っていると、ルプが言う。
「良いじゃねぇか、俺達の事も紹介してくれよ。」
「そうやねぇ、どのみちチハルの事やけんバレるやろ。」
「そうですね、多分気付かれますよね。」
どこからともなく聞こえる声に、祖父母は目を開くが、落ち着いて問いかけて来る。
「どちら様の声で御座いますか?」
「千春の所にある神社の土地神、千春を守っている者だ。」
「わっちも似たようなもんやね。」
「僕も経緯こそ違いますが、同じ感じですねぇ。」
「・・・お姿をお見せいただけますか?」
祖母は落ち着いて答えると、ルプ達は姿を現す。
「お初にお目に掛かる、千春の祖父母殿。」
ルプは狼の姿を現すと挨拶をする、祖父母はルプと千春を交互に見ながら言葉を無くした。
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