大樹帰還!
「ただいま!千春!帰ったよ!」
「お父さんおかえりー、テンション高すぎてて笑うわ。」
盆休みを前に、早く帰って来た大樹は千春に抱きつく。
「うぐぇ!わかったから荷物片付けてよー。」
「お土産あるよ!」
「はいはい、お父さん朝ごはんは?」
「まだ食べてないよ。」
「あれ?荷物思ったより少ないね。」
「うん、荷物は後で届くからね。」
キッチンに立つ千春は、大樹の朝食を作り始める。
「どうだい?あっちは楽しいかい?」
「うん、毎日楽しいよ。」
荷解きしながら大樹は千春を見ると、笑みを浮かべフライパンを温めている。
「そっか、良かった。」
「あ!宰相さんがいつ帰ってくるか何回も聞いてたよ、飛空挺と農業関係と水質検査の話、他にも色々言ってた。」
「なんで言ってた?」
「覚えてないよ、お父さんどんだけネタ仕込んで行ったのー?」
「んー、どれがどのくらい進んでいるのか確認しないと行けないねぇ。」
「暫く忙しくなりそうだね、ちゃんと休んでよね。」
「わかってるよぉ、あとお盆はお爺ちゃんの家に行くからね。」
「うん。」
「ハルト君も連れて行くかい?」
大樹は手を止め千春に聞く。
「・・・うん、おかぁさんに紹介したいからね。」
千春は笑みを浮かべた。
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「おかえりなさいチハル。」
「ただいまサフィー。」
「タイキ様は?」
「朝ごはん食べてる、荷物整理したら来るよ。」
「久しぶりに会ったんですからチハルもゆっくりすれば良いのに。」
「顔合わせるのは久しぶりだけど、いつもLIMEで話してるし通話もしてるからなぁ。」
「チハルがそれで良いなら良いんですけどね。」
サフィーナは微笑みながらお茶を入れる。
「今日はミオとヒマリが来るから。」
「ヒマリはあちらに行くのかしら?」
「うん、夜会のドレス仕立てるんだってさ。」
「次期王妃ですものね。」
「ねー、凄いよねー。」
「・・・チハルもよ?」
「サフィーもね。」
クスクスと笑い合う2人、モリアンとラルカは美桜と日葵の着替えの準備を始めた。
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「さてと、新しい計画書と、置いていった計画の進捗状況確認っと、後は換金計画たなぁ、やっぱり金なんだよなぁ。」
大樹はバインダーに挟んだ書類を見ながら呟く。
「準備出来たの?お父さん。」
「うん、あとはお土産だね。」
「お酒コレだけ?」
「うん、関税の持ち込みは決められてるからね。」
袋に入れた荷物を持つと、大樹と千春は異世界に入る。
「タイキ様お待ちしておりました。」
「お待たせしました。」
執事が声を掛け、大樹を案内する。
「それじゃ千春行ってくるね、何かあったら連絡するから。」
「何かって、あるとしたらお酒の追加くらいでしょ!」
「あははは、その時はよろしくー。」
プルプルと手を振り大樹は部屋を出て行った。
「ね、久しぶりに会ってもあんなもんだよ。」
「チハルを見て安心したんでしょう?」
「まぁいきなりハグされたけどね。」
暫くすると、美桜と日葵が揃って来る。
「やっほい!チハル2日ぶり!」
「にゃほー。」
「おひさにゃー。」
「ミタマ、今日はヒマリと一緒なのね。」
「そうにゃー。」
「なんか疲れてない?ミタマ。」
「・・・毎日撫でくりまわされるにゃぁー。」
「・・・どんまい。」
日葵に抱かれ、ぐったりしたミタマは答える。
「ユラちゃん居る?」
「もうすぐ来るよ、ミオは今日どうするの?」
「ん?別に?家の予定無いから来たけどノープランだよ。」
「もしかしたらお父さんが飛空艇飛ばすから一緒に乗る?」
「乗る!」
「え!今日飛ばすの?!」
「らしいけど、まだ未定だよ?」
「え~!私も乗りたかったなぁ!」
日葵はそう言うと、美桜と2人で寝室へ着替えに行った。
「サリナ、ユラ呼んでもらえる?」
「了解しました。」
サリナは部隊の1人に声を掛け、ユラを呼びに行かせる、日葵と美桜が着替え終わる頃、ユラが千春の部屋に入って来る。
「チハルおねえちゃんキター!」
「はい、いらっしゃ~い、ルルにブルーワグまで送ってもらって良いかな?」
「はーい、ユラもあそんできていい?」
「ルペタちゃんと?良いと思うけど・・・大丈夫だよねサフィー。」
「はい、モリアンとラルカを付けますから大丈夫ですよ。」
サフィーナはそう言うと、モリアンとラルカは笑顔で頷く。
「それじゃユラちゃん、ルルちゃんお願いするね。」
「了解よ~♪」
「はーい。」
日葵とユラ、モリアンとラルカはルルに連れられブルーワグに移動する、千春と美桜は暫く部屋でのんびりしていると、大樹が戻って来た。
「千春、飛空艇を見に行くけど、行くんだよね?」
「モチ!」
「私も行きまーす。」
「よし、それじゃ行こうか。」
「乗れるの?」
「うん、今話を聞いたからね、テスト飛行は問題無かったよ、少し遠出も出来るけど。」
「流石に遠出はなぁ、因みに何処まで飛ばす予定なの?」
「ハース領まで飛ばす予定だね、予定飛行時間は片道2日間、整備確認を入れて往復5日の予定だよ。」
「うん、ロイロで5時間掛からないからやめとこう。」
「リリだと一瞬だもんね。」
千春と美桜は笑いながら遠出を断るが、テストで乗る為に飛空艇の所まで移動することにした。
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「・・・空港?」
「うん、空港だね。」
「いつの間に作ってたの?」
「そりゃぁこんな大きな物が離着陸するんだから作るに決まってるじゃないか。」
大型飛空艇と中型飛空艇、そして小型飛空艇が数隻並んでいるのを見て千春は驚く。
「ハースにはどうやって着陸するの?」
「ハースにも空港を作ってるよ、空港と言っても地球の様な空港じゃなく、開けただけの場所だけどね。」
アハハハと笑いながら大樹はタラップを登り中へ乗り込む。
「うん、作りはしっかりしてるね。」
「今から飛ばすの?」
「王国を一回りしてもらう予定。」
ニヤリと笑う大樹はそのまま操縦席のある部屋に向かう、中には数人の人が作業をしていた。
「タイキ殿、準備は出来ております。」
「うん、ありがとう、それじゃぁ早速飛ばしてもらって良いですか?」
「了解しました。」
機長と思われる者が声を掛けると、数人が座り作業を始める、伝声管の様な物に掛け声をかけると返事が返って来る。
「それでは離陸します。」
機長はレバーを上げると水晶の様な石がうっすらと光る、そして窓から見える風景が変わる。
「おー!!飛んでる!」
「浮いたねー。」
「うんうん、エンジンじゃないから静かだし離陸もスムーズだね。」
そのまま浮くと飛空艇は前進を始める、そして王都をゆっくりと進む。
「本格稼働っていうか便はいつから?」
「条件を付けてるから、もう開始出来るよ。」
「条件?」
「うん、暫くはドラゴンを4体護衛兼脱出サポートとして付けてもらうんだ。」
「あー、ドラゴンならゴンドラで運べるもんね。」
「そう言う事、長時間の運行を200時間、問題が無ければドラゴンの数を減らして運行だね。」
「ドラゴン達のお仕事増えるね。」
「ママドラさんの話だと、ゴロゴロしてるから暇すぎて困るらしいんだ、喜んでたよ。」
「ドラゴンが良いならまぁいっかぁ。」
そして大樹、千春、美桜は空の散歩を暫くの間楽しんだ。
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