夏祭り!①
「はーい、それではお出かけする前の確認事項でーす!」
千春は皆が揃ったのを確認し、話始める。
「えー、まずは皆そこに並んで写真撮影です。」
「は?」
「なにそれ。」
「後で良くね?」
「必要か?ソレ。」
「意味わからん。」
「はい、モリーお願い。」
「はーい!」
千春はモリアンにスマホを渡すと皆の所に行く。
「はい!撮りまーす!」
パシャ!パシャ!パシャ!パシャ!
「何枚とってんのよ。」
「失敗したくないので!」
モリアンはそう言うと千春にスマホを返す。
「さて、それでは、大人数になるので分かれてタクシーで行く事になりました!」
「うぃーっす。」
「まぁ妥当だよね。」
「流石にこの人数でバスと電車乗り継ぎキツイわ。」
「お金はどうしたらいい?」
「大丈夫です、お父さんから安全第一、身バレ防止という事で全額おとうたま持ちです。」
「よっ!千春パパ最高!」
「素敵!」
「ひゅー!!!」
「いいの?」
「わかんない、ヨリ達の感じだと良いっポイ?」
「ふとっぱらぁ・・・。」
「タクシーはもうすぐ来るので、皆どんどん乗ってね、あと現地は混むと思うので、先程地図にマーカーした所が花火を見る合流場所、必要な物はビェリーが全部持ってます、おけ?」
「おけ。」
「おけまる。」
「すいさん。」
「りょ。」
頼子達は手を上げ返事をする、男性陣は笑みを浮かべそれを見ている。
「そしてー、予定外メンバーとして侍女が付いて来ます!」
「それ!なんでサフィーちゃん浴衣きてんの!?」
「サリナちゃんもじゃん、買ってないよね?」
「はい、有能サフィーをなめてました、昨日アレから侍女と裁縫師呼んで作りやがりました。」
「チハル、ユラ達を見る人が居るでしょう?頑張ったんですよ?」
「あざまーす、と言う訳で、子供達をサフィーとサリナが見てくれますので、皆さん好き勝手してください。」
「「「「「「はーい。」」」」」」
「はい、男性陣!」
「なんだ?」
「この蝙蝠ちゃんを襟下に入れておいてください。」
「アルデアの眷属だな。」
「うん、アルデアに連絡も出来るから何か有ったらその子達に話しかけてね。」
「了解した。」
「以上!行くぞー!」
「「「「「「「おー!」」」」」」」
「・・・さて、行くか。」
「そうですね。」
エンハルトとアリンハンドは苦笑いしながら後ろから付いて行く、千春が門を通し皆玄関前に行く。
「それじゃフランちゃんは私と、あと子供は取りあえずバラけるけど次々乗ってね。」
呼んでいたタクシーが来ると、順番に乗り込み目的地へ向かう。
「チハル様、これが車ですか?」
「そうだよー、あ、フランちゃん様は無しね。」
「あ、はい、チハルさん。」
「俺の事もハルトと呼べよ?」
「えぇ!?・・・はい、ハルトさん。」
タクシーは暫く走る、エンハルトとフランシスは窓の外と不思議そうに見つめ、目で追いかける。
「すごい・・・。」
「あぁ、凄いな、言葉が出ない。」
日ももうすぐ落ちそうな夕暮れ時、所々で電気が付き、店の看板も光っている。
「これがチハルさんの世界なんですね。」
「この前はお店行っただけだもんね。」
「俺もバスに乗って出かけたが・・・凄いなぁ。」
2人はしみじみと呟きまた窓の外を見つめる、千春はそれを微笑みながら見ていた。
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「ヨリさん。」
「なにー?アリンさん。」
「凄いです。」
「うん、そだね。」
頼子はこのやり取りを何度目だろうかと思いながらアリンハンドを見る。
「ヨリおねえちゃんまだ遠いの?」
「ん~もう少しかかるね、ちょっと車多いから。」
「そっかぁ。」
「ユラちゃんどうしたの?」
「えっとね・・・このくるまのにおいが・・・にがて。」
「あー、分かるわ、そうだ、ビェリー。」
「なん?」
「ちょっと柑橘系の果物出して。」
「ん、これでいいかいな。」
頼子はオレンジのような果物を受け取り爪で皮に傷を付けハンカチを当てる。
「これを口に当ててみて。」
「うん・・・良い匂い。」
「もうちょっと頑張ろうね。」
「うん!」
笑顔で答えるユラ、頼子はユラの頭を撫で、早く着け!と心の中で叫んだ。
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「はー!到着!」
「お疲れ!」
「皆着いた?」
「あとはヒマリとハチェットさん、ルペタちゃん、ロイロの車かな。」
皆はタクシーを降りると、一旦集まり合流する。
「あ、来たよ。」
「全員揃ったね・・・ってロイロ大丈夫?」
「・・・だ・・・大丈夫じゃ。」
「車酔い?」
「いや・・・わからんがあの車の匂いできもちわる・・・うっぷ。」
「それを車酔いって言うんだよ。」
「帰りも乗るんじゃろ?」
「・・・うん。」
「何故飛べんのだこの世界は。」
「魔力ないからね~、さて、それじゃヨリ場所取り大丈夫?」
「うん、先に取って来る、場所取れたらLIME入れとくから。」
「お願いした、それじゃ皆行こうか。」
千春はそう言うと、屋台の並ぶ夏祭り会場に入っていった。
「ルル、ポポ、シュシュ、居る?」
「居ますわ~♪」
「いるぜ!」
「いますよ~♪」
「大丈夫だとは思うけど子供達よろしくね。」
「まかせて~♪私達は少しくらい離れても話が出来るから♪」
「おっけ~それじゃ行くよ~ん♪」
それぞれ相方を連れ歩き出す、千春とエンハルトは、フランとサフィーナ、サリナが、そして子供達も一緒に移動する。
「チハルおねえちゃんアレなに?」
「チョコバナナだね、食べる?」
「「「「「たべる!」」」」」
「おじさんチョコバナナください。」
「あいよ、おじちゃんにジャンケンで勝ったら2本あげるよ。」
「じゃんけんがんばる!」
「よーし!おじちゃんグーだしちゃうかな!」
屋台のおじさんは手をグーにしながらユラに笑みを浮かべながら言う。
「じゃーんけーんぱー!」
「あーおじちゃんまけたー!お嬢ちゃんつよいなー、ほら2本だ!」
「やったぁ!チハルおねえちゃんかったー!」
「よかったねー、ルペタちゃんもやってみる?」
「やるー!」
屋台のおじさんは次はパーだしちゃうと言い、パーを出し客に勝たせる。
「シャテルちゃん、イーナもやる?」
「やる!」
2人もジャンケンに勝つと手を上げ喜ぶ。
「・・・ハルトもやる?」
「じゃんけんと言うのを知らないんだが?」
「あーユラ達はいつもやってるから皆知ってると思ってたわ。」
皆はチョコバナナを食べながらテコテコ歩く、人はそれなりに多いが、混雑するほどでは無い。
「食べ物屋も多いが、あの人形や箱はなんだ?」
「あれはクジ引きだね、まぁ当たんないよね。」
のんびりと歩きながら店を見て回る千春達、りんご飴や綿菓子と定番の店を回り、ゲームをしたりと歩いて行く。
「お、弓か。」
「アーチェリーだね。」
「やっても良いか?」
「出来るの?」
「弓は得意だぞ。」
「向こうの弓と違うんじゃない?」
「多分大丈夫だろ。」
エンハルトは千春と店の前に行くと千春がお金を払い、5本の矢を受け取る。
「この5本で奥の風船、あの丸いフヨフヨしてるの当てるの、一番遠いヤツが点数良いみたいだよ。」
「ほぅ、中々良い弓だな。」
軽く弦を弾きながら弓を触るエンハルト。
「はい。」
千春は一本矢を渡すと、エンハルトは弓を引く。
ビィーン!・・・パン!
「おー!当たった!はい次。」
「おう。」
エンハルトは使った事の無いアーチェリーを使い、遠くの的にすべて当てる。
「兄ちゃん上手いな!景品はコレだ、好きなのを持って行って良いぞ。」
店主は飾られた人形を指差し言う。
「チハルどれがいい?」
「ん~、これ。」
千春は熊のヌイグルミを指差す、エンハルトは子犬程のサイズの熊のヌイグルミを受け取り千春に渡す。
「ありがと。」
「こちらこそ、楽しいな祭りは。」
「初めて使った弓であんなに当てれる物なの?」
「一発目は軌道の確認だったんだが、思った通りに飛んだからな、後は楽だったぞ。」
「ふぅ~ん。」
楽しそうにするエンハルトを見て千春も微笑む。
「らぶらぶ?」
「いちゃいちゃってヨリおねえちゃんが言ってたよ?」
「らぶらぶでいいんじゃない?」
「えんはるとさまカッコいいです。」
ユラ達は千春とエンハルトを見ながらりんご飴を齧る。
「・・・ほら!ユラ次行こう!」
「そうだな、次行くぞ。」
2人は顔を赤くしながら声を掛け、次の店に向かった。
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