寿司パ!

「酢飯出来た?」

「うん、後はこれ混ぜるんだよね?」

「そ、五目イナリにするから。」

 頼子は具を入れ飯を混ぜる。


「お揚げさんはコレでオッケー。」

「錦糸卵出来たよーん。」

「あーい、こっちのちらし寿司に盛り付けてー。」

「りょー。」

 青空と大愛はちらし寿司をトッピングし、日葵はエビを茹で、一緒に飾り付けする。


「海鮮丼はどう?」

「もう出来てサフィーちゃんにナイナイしてもらってるよ。」

「おっけー、ミタマのは?」

「ふっふっー刺身盛りで作ったよ。」

「うぃっ、ミタマの歓迎会だからね。」

 美桜はお皿に刺身を並べ千春に見せる。


「今日の晩御飯は豪華だなぁ。」

「そろそろフリエンツに魚介類買いに行きたいね。」

「ハースじゃダメなん?」

「ハースはクッソ寒いらしいよ、フリエンツは暖かいらしいから。」

「人魚さん凍え死んでんじゃん?」

「暖かい所まで移動するらしいからね、フリエンツに戻ってんじゃん?」

 千春はいなり寿司を詰めながら話す。



-----------------



「はーいお待たせー。」

「おおー!豪華じゃなぁ!」

「ロイロ達にはコレね。」

 魔道コンロにお湯を張り、熱燗を入れる。


「熱燗か、良いな。」

「ミタマはお酒飲めるの?」

「呑んだこと無いにゃ。」

「土地神をしていると御神酒が供えられるが、ミタマはそう言うのが無いから仕方ねぇよ。」

「楽しみにゃ!」

「ミタマ、酔って暴れたらアイテムボックスにぶちこむから程々にね。」

「・・・はいにゃ、気をつけるにゃぁ。」

 ビェリーとコンも人型に変化すると席に座りワクワクしている。


「コンちゃんいなり寿司あるよー。」

「ミオさん有難うございます!!」

「いなり寿司とお酒って合うの?」

「美味しいと美味しいは凄く美味しいになるのです!」

「そう、コンが良いなら良いけどね。」

 美桜は笑みを浮かべる。


「ユラ達はこれー。」

「キレイ!」

「コレは何ですか?」

 黄色の錦糸卵とピンクの桜でんぶ、エビで飾り付けられたちらし寿司にユラは嬉しそうに、そして初めて見たイーレン、ルペタ、シャテル、イーナは不思議そうに見ている。


「ちらし寿司だよ、あ、イーナ、アルデアも呼びなー。」

「呼ぶのです!」

 イーナが言うと影からアルデアが現れる。


「・・・おはようチハル。」

「おはようアルデア、今夜だよ。」

「・・・寝てたわ。」

「ご飯食べれる?」

「・・・食べるわ。」

 寝ぼけ眼でイーナの横に座るアルデア、まだ眠そうだ。


「チハルおねえちゃんたべていい?」

「いいよー、おたべー。」

「「「「いただきまーす!」」」」

 お子ちゃま達は手を合わせ言うと、ちらし寿司を頬張る、そして皆千春を見ながら笑顔で頷いている。


「さてと、私もたべよー。」

「千春、はい海鮮丼。」

「さんきゅー。」

 千春は海鮮丼用のタレを上からかける。


「醤油とワサビじゃ無いの?」

「うん、コレは醤油と味醂と白だしだよ。」

「へー、私もそれ掛けてみよ。」

 頼子もタレをかけると赤身の刺身をすくい上げ口に入れる。


「・・・んっめぇ。」

「んっまいねぇ。」

「チハル刺身うまいにゃ!」

「よかったねーミタマ、おかわり有るけど食べすぎないでね。」

「わかったにゃ!」

 ハグハグと刺身に齧り付き、横に置いた日本酒をペロペロと舐め、プルプル震えている。


「明日はいつ出掛けるの?」

「バスと電車乗り継ぎだからなぁ、夕方出ようとは思ってるけど。」

「人数多いもんね。」

「迷子になったら怖いね。」

「チハル、あっちに出掛けるのよね?」

 アルデアが千春に声をかけて来る。


「うん、今いるメンバーとそこのお子ちゃま達、後はハルト達の男性陣が行くよ。」

「そう、それじゃ私もついて行ってあげるわ、全員に眷属を付けておけば場所も分かるし話も出来るわ。」

 アルデアは小さな蝙蝠をイーナの頭に乗せながら言う。


「流石バンパイア、マジ助かるわ、アルデアの浴衣どうしようか。」

「別に良いわよ、さっき着ていた異国の服でしょう?」

「そだよ、見てたの?」

「えぇ、イーナが興奮してたから何かと思って見てたわ。」

「ん~せっかく一緒に行くなら着せたいなぁ・・・あ!ちょっとまってて!」

 千春は日本に戻ると大樹の部屋に入る、そして箪笥を開けて行く。


「・・・あった。」

 千春は箪笥から一着の浴衣を取り出すと異世界に戻る。


「アルデア、これ着てみて。」

「・・・綺麗な布ね。」

「うん、おかぁさんの浴衣なの。」

「それはチハルが着なさいな、私はチハルが着ていたのを着たら良いじゃない?」

「・・・え?」

「チハル、試着してみましょうか。」

 話を聞いていたサフィーナが千春の浴衣を受け取ると寝室へ千春を促す。


「チハルのお母さんの浴衣忘れてたの?」

「うん、アルデア見てて急に思い出した。」

「そう・・・綺麗な色ね。」

 紺色の生地に色とりどりの朝顔が咲き乱れた浴衣を広げサフィーナは呟く。


「さぁ着てみましょうか。」

「・・・うん。」

 試着で浴衣の着付けを完全に覚えてたサフィーナは手際よく千春に浴衣に着替えさせる。


「少し長いわね、腰紐の所で少し折りましょう。」

「・・・上手いね。」

「今日沢山着せましたからね。」

 微笑みながらサフィーナは着付けをすると帯を締める。


「・・・どう?」

「素敵よ、凄く似合ってるわ。」

「ありがとうサフィー。」

 着替えたついでに応接間に戻ると皆が千春を見る。


「どうかな?」

「綺麗。」

「うわぁめっちゃいい!」

「これはヤバいな、めっちゃ似合ってんじゃん。」

「こりゃぁハルト君惚れ直すな。」

 千春はクルリと周りポーズをすると、頼子達はスマホを構え写真を取り出す。


「ちょっ、やめてよ!」

「いいじゃん、千春に送るからお父さんに送ってあげなよ。」

「んぁ~・・・うん、ありがと。」

「チハル、大丈夫みたいだから着替えましょうか。」

「うん、アルデアありがとう、私の合うか合わせてみてよ。」

「合うに決まってるでしょう、ほとんど体格変わらないじゃない。」

「・・・そだね、身長も胸のサイズも変わんないね。」

「・・・そうね。」

 言った千春とアルデアの目線は胸に行く、そして千春は着替えに戻った。


「・・・うりゃ、送信!」

「タイキ様に送ったの?」

「うん、おかぁさんの浴衣借りるねって、写真も送った。」

「そう、多分喜んでるんじゃないかしら?」

「そうかなぁ?」

「そうに決まってるじゃない、今頃向こうで泣いてるんじゃない?」

「まさか~、これくらいんじゃ泣かないっしょー。」

 ケラケラと笑いながら着替えを終わらせると、千春は応接間に戻りワイワイと明日の予定を話した。



-------------



「藤井さんどうしたんですか?」

「・・・ぐすっ。」

「え?泣いてるんですか?」

 大樹はスマホを同僚に見せる。


「おぉー、そう言えば日本は夏ですねぇ、娘さん浴衣着てお祭りですか。」

「妻の浴衣なんだ・・・似合ってる・・・千春可愛い・・・もう日本帰って良いか?」

「ダメでしょう、帰省のチケット取ってるんでしょう?」

「くっ、今から有給申請出せばもう少し早く帰れるか!?」

「だーめーでーす、すぐ休み来ますって、でも似合ってますね。」

「だろ!似合うに決まってるんだ、千春だもん!」

「だもんって・・・あれ?ココ何処なんです?凄い豪華な家具と部屋ですね、横に居るのは・・・メイド?」

「・・・ん、さて、仕事するか!」

 大樹はサッとスマホを消すと、仕事を再開した。





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