第4話国王陛下&王妃様にご挨拶しました

 私はそのあとゴリクマの両親に挨拶することになった。


 両親とは国王陛下と王妃様だ。国王陛下は愛妻家で側妃などいない。


 王妃様、息子の側妃なんていやじゃないのかしら?


 いじめられたら嫌だな。


「王国の太陽であらせられま……」


「そんな堅苦しい挨拶はしなくていい。ロゼッタ嬢、この度は申し訳無かった」


 えっ? 国王陛下は何を謝っているんだろう? 私は陛下に謝られることなんかないはずなのに。


 私はどう返事をすべきか迷っていた。


 国王の隣にいた王妃様がいきなり私の手をとった。


「本当にごめんなさいね。公爵令嬢のあなたに側妃になれだなんて。プライドが傷ついたわよね」


 その謝罪か。そんなのいいのに。


「いえ、私は婚約破棄された傷ものですわ。お気になさらないで下さいませ」


「傷者なんて言ってはダメよ。そんな事をいう人がいたら不敬罪で処刑するわ」


 いやいや、王妃様、そんなことで処刑したら大量殺人になるわ。


 王妃様は私の手を握ったまま話を続ける。


「ここに嫁いできたら私のことを本当の母だと思って頼ってくれていいのよ。あなたに危害を加えるものは私が許しませんわ」


「ありがとうございます」


 よくわからないけど、とりあえずお礼は言っておこう。お礼の言葉は大事だからね。


 この縁組は王妃様の肝入りなのかしら? めっちゃ私の事を大事にしてくれそうだ。


 正妃様との嫁姑関係がうまくいってないのかな? やはり他国の王女が嫁って難しいのかもしれないな。

 まぁ、私なら臣下の娘だし、お父様と陛下は遠い親戚みたいなものだし、やりやすいのかもね。


 私はただの側妃だから、陛下や王妃様と関わり合いにならなくてもいいはずなんだけど、私の認識間違ってる?


 私が戸惑っていると、陛下が助け船をだしてくれた。


「ロゼッタ嬢が困っているだろう。それくらいにしなさい」


「そうですわね。嬉しくて舞い上がってしまいましたわ。テディ、ロゼッタちゃんに辛い思いをさせたら私が許しませんからね。ロゼッタちゃん、またゆっくりお茶会でもしましょうね」


 ロゼッタちゃんって言われたよ。もう18歳なのよ。高飛車だし、怖いから縁談が来ないと言われた私をロゼッタちゃんって? 喜んでいいよね。王妃様には好かれているようでよかった。


 ゴリクマはテディと呼ばれているのね。確か名前はセオドアだったかな。だからテディか。なるほど。


 私はまた頭の中で色々考えていた。


「ロゼッタ嬢。婚儀は大聖堂で行う。ドレスは王家が用意するが、テディやグレイスに希望があれば伝えてほしい」


 国王陛下の発言に驚いた。


「大聖堂でございますか? 私は側妃でございます。そのような立派な式など必要ないかと」


 正妃ならともかく側妃なんだよ。大体側妃と結婚式をすると言うだけでも驚いたのに大聖堂だなんだなんて。普通、側妃ってそんな豪華な結婚式をするの?


 私の頭の中はクエスチョンマークで埋め尽くされた。


「この国は側妃も大聖堂で挙式し、馬車でパレードを行うとのが決まりだ。そんなに恐縮することはない」


 へ? パレードは嫌だ。


 パーティーの婚約破棄騒動で晒し者になったのに、その上パレードだなんて。


「申し訳ございません。パレードは何卒お許し下さいませ。お願いでございます」


「そんなに嫌か?」


「はい。申し訳ございません」


 国王は私が何で嫌なのかわかっていないようだ。


 王妃様が口を挟んだ。


「ロゼッタちゃんが嫌ならパレードはやめましょう。陛下、テディ、いいわね」


 どうやら、陛下より、ゴリクマより王妃様が強いようだ。お願いは王妃様にしよう。


 挙式は半年後に決まった。


 側妃なのに、王太子妃教育もするそうだ。


 王妃様は「簡単にサラッとね」と言っていたが、何をするんだろう? 執務や公務もないだろうし?


 この時の私は側妃を気楽に考えすぎていた。

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