第3話 顔あわせ

 側妃でも顔合わせはするのね。しかも挙式もするなんてびっくりした。


挙式には正妃は参列するのだろうか? 私が正妃なら嫌だ。


 そもそもいくら子供ができないといってもまだ2年。

 それなのに側妃を持つなんて普通ならあり得ない。王家だから仕方ないのか?


 私が正妃だったら離縁する。


 遠い国からわざわざお嫁に来たのに大事にしてないのだろうか?


 情無しなのか?


 私は子供の頃、王太子殿下には何度か遊んでもらったような記憶がある。

 8歳年上で、優しい人だった気がするが思い違いかな?


 確かあの時「外国に行くんだ。戻ったらまた遊ぼう」と言っていたような気がするが、いつ戻ってきたのか知らない。


 私があの馬鹿男と婚約したので遊べなくなったのかもしれないな。


 まぁ、昔のことだ。


「ご無沙汰しております。ロゼッタ・ブロムヘキシンでございます」


 私は得意のカーテシーで挨拶をした。


「頭を上げて下さい」


 低いが柔らかい声に頭を上げた私は目の前にいるその人を見て驚いた。


「セオドア・ファン・カモスタットです」

クマだ! いやゴリラ? やっぱりクマだ。


 よく見ると顔は精悍な感じのイケメンだな。ダークブロンドの髪に濃いグリーンの瞳。


 しかし縦にも横にも大きく厚みのあるクマのようなゴリラのような身体。


 今時はすらっとした中性的な細マッチョがもてはやされる時代。

 このゴリクママッチョは令嬢受けしないなぁ~。

子供の頃はゴリクマじゃなかったような気がするのだが、私勘違いしてるのかな?


 私があまりにもじっと見すぎたせいか、目の前のゴリクマも固まっている。


「何か?」


「いえ、あまりにも大きくていらっしゃるので驚きました」


「大きな男は嫌いでしょうか?」


 はぁ? そんなこと聞かれてもなぁ。どちらかと言えば好きだが、どう答えようか。


「やっぱり嫌いですよね」

 ゴリクマは大きな身体で項垂れている。


「どちらかと言えば好きです」

 思わず本音が口から出た。


「「「良かった!」」」


 ゴリクマ含めて側近方からも安堵の声が上がる。


 ゴリクマが急に立ち上がった。やはり半端なくデカい。


 私の目の前に来て。なぜか片膝をついた。


「ロゼッタ嬢、私と結婚してください」


 いやいや、側妃だろ?


 私は正妃じゃなくて側妃なのよ。しかも拒否権はないんでしょ?


 何これ?


 仕方ないな。付き合うか。


 私はゴリクマの手をとった。


「よろしくお願いいたします」


「「やった~!!」」


 何ごと? 側近方も大喜びしている。


 そんなに側妃が欲しかったのか?


 えらいところに来てしまったような気がする。


 私はゴリクマの側妃になると言ってしまったことを少し後悔した。

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