第4話 ギルドにて

中に入ってみるとそこは広いホールだった。

天井は高く、奥の方は吹き抜けになっていて2階が見える。

壁際にはいくつかのテーブルが置かれており、数人の人がいるようだ。

正面の壁側にはカウンターがあり、女性が立っている。

あそこで依頼を受けるんだろうか?

そんなことを考えつつ、受付の女性に声をかける。

女性は笑顔で対応してくれる。

どうやらここは依頼の受注だけでなく、報告も受け付けているらしい。

そしてクエストを受けるだけではなく、完了の報告もここでできるそうだ。

だからか、何人かの冒険者がいて、掲示板のようなところに集まっている。

その掲示板にはいくつか紙が貼られていた。

あれが例の依頼書なんだろう。

さて、どうしたものか。

そう思っていると、さっき声をかけた女性とは別の人が話しかけてきた。


「おはよう。何か用かな?」

「ええと……実はこの街に来たばかりでよくわからないんですが……」

「ああ、なるほどね」

「冒険者になりたくて来たのですが……」

「それならここだね」

「よかった。ありがとうございます」

「いいってことよ。じゃあ早速手続きしようか」

「はい。よろしくお願いします」

「私はこのギルドのサブマスターをしているミレアナよ。あなたの名前は?」

「俺……私はタクミと言います」

「タクミか。覚えておくよ。じゃあこっちに来てくれるかい」

「わかりました」


俺は案内されてカウンターに向かう。


「じゃあこの用紙に必要事項を書いてもらえるかしら?」


そう言って差し出されたのは一枚の紙とペン。

その用紙には名前とか年齢とか出身地とか、そういうことが書かれていて、最後に署名欄があった。

俺はそこに自分の名前を記入していく。

名前はカタカナでタクミとだけ書いた。

年齢は15歳。

出身はニホンでいいだろう。

一応、この世界には日本みたいな国もあるからな。

ちなみにこの世界の暦は地球と同じらしく、1年が365日、1日が24時間だそうだ。

まぁ、太陽の位置が同じかどうかはわからないけどな。

ともかくこれで登録が完了した。


「よし、これで終わりだ。おめでとう。これから頑張っていこう」

「はい。ありがとうございました」

「じゃあ早速だが、簡単な説明をするぞ」

「お願いします」

「まずギルドはF~Sランクまであって、お前はGランクからのスタートになる」

「ランクを上げるにはどうすればいいんでしょうか?」

「基本的には討伐系の依頼をこなしてもらうことになる。ただし、これは誰でも受けられるというわけではない」

「どういうことでしょう?」

「魔物の討伐は危険を伴う。だから基本的に10歳以上でないとダメなんだ。だから、お前はまだ無理ということだ」

「なるほど」

「他に質問はあるか?」

「いえ、大丈夫です」

「そうか。それなら次はステータスの確認をしてもらう」

「ステータスですか?」

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