最終章 交際編

第62話 学校でのハーレム

 広季が仁美、海、舞と付き合い始めてから、数日が経過した。


 今は学校の授業がすべて終了し、放課後に突入していた。


 ここ最近の日課で、昼休みと放課後の最低2回は、広季のクラスに、仁美、海、舞の3人が足を運ぶようになった。


「ねえ、今日はどうする? 購買で食べる? それとも学食? 」


 仁美は広季の肩に頭を載せ、疑問を投げる。


「そうですね。それとも、わたくしの作ってきた弁当を食べますか? 」


 海は仁美の席に足を掛け、広季に膝まくらをしてもらう。真下から広季を見つめているような体勢だ。


「それとも、うちを食べちゃう? うちは準備万端だよ? 」


 バックハグし、誘惑した口調で、舞は広季の耳の直近で囁く。


「い、いや。その…」


 3人の美少女にホールドされ、身動きが取れない広季。ピーチ、柑橘系、バラの香りが各々、広季の鼻腔を刺激する。それぞれ3人の美少女に付着した香りだ。仁美、海、舞の3人からスキンシップを受けたのは初体験だ。しかも教室の中でだ。


 周囲のクラスメイトの男女は広季達に視線を集中させる。それほど、目に付く光景ではある。


 広季は心が落ち着かない。平静さを失った状態で、3人の美少女に密着される。


 だが、身体は正直であり、仁美、海、舞との身体が触れ合い、あそこは硬く大きく変貌する。制服のチャックの部分が三角形状に膨らむ。


「そろそろ何か反応してよ。私達付き合ってるんだから」


「そうです! 」


「無反応は辛いの」


 仁美、海、舞が順に不満を口にする。不満をぶつけるように、密着や腕の力を強める。


 広季の肩に頭を載せる仁美や、バックハグする舞の腕や胸がより密着する。海の頭はさらに広季の太ももとの密着度を増やす。もう、まるで下方から海の後頭部を突きあげるように、硬く太いあそこの部分が海の頭に触れていた。


「おいおい。聞いたか」


「ああ。あの森本が学校で有名な3人の美少女と付き合ってるのかよ」


「まじかよ! 羨ましすぎるだろ!! 何であいつが!! 」


「リア充爆発しろ!! 」


 その場にいる男子達は意気消沈する。3人の美少女の誰かに好意を寄せていたり、密かに狙っていた人物は諦めムードである。該当する人物は、主に2種類の反応を示す。1つはガックリ肩を落とす。もう1つはすべてが終わったように、広季のハーレムシーンを凝視する。この2つに集約できる。


 後者の反応をした人物が啓司である。


 人生終了したようなオーラ―を漂わせ、啓司は広季のハーレム光景を呆然と眺める。何かぶつぶつ口にしながら、ガリガリ爪にかぶり付く。


 啓司にとって、今の状況はショック以外の何ものでもない。広季に彼女が出来たこと、しかも自身が強く狙っていた人物達がすべて広季の物になってしまった。


 完全に見下していた人物が、自身が成し得なかった快挙を成し遂げた。これほど屈辱的なことはない。だが、衝撃的すぎて気持ちが落ち着いていないのだろう。だから、呆然としながら、ただ広季達を見つめることしかできないのだろう。

 

 一方、女子達は興奮する者。嫉妬する者に別れた。嫉妬する者は少数であり、大多数が興奮していた。嫉妬する者は仁美達を目に敵にする人間達だった。


「ちょっと、トイレに行きたいんだけど。俺の身体を解放してくれないかな? 」


 膀胱に尿が溜まった感覚がある。少し我慢はできる。だが、その場合、多少なりとも苦痛を伴うだろう。本来、身体から排出する尿を我慢して体内に無理やり留めるのだから。


「え~。じゃあ、一緒にトイレに行かない? 離れたくないから、女子トイレでトイレすれば? 」


「うん。それがいいの」


「わたくしも強く同意です」


 仁美の提案に一切異議を申し立てず、海と舞は同調した。


「いやいや、それは問題だろ!! 」


 断固拒否し、広季は反論する。いくら何でも、他の生徒が利用する女子トイレで用を足すなど、恥ずかしくて耐えられない。


 だから、広季は1人でトイレに行くために、身体を解放するお願いした。


「ちぇ~。名案だと思ったのに」


 仁美は渋々、広季の肩から頭を離す。


「わたくしは、森本さんの用を済ませる姿を見ても、不快に思いませんよ。どちらかと言えば、興奮するほどです」


「うちも全然嫌じゃない」


 仕方なく、海も舞も広季から距離を作った。海は広季の太ももを解放し、立ち上がる。舞は両腕を広季の首元から解放し、胸の密着も解く。


「おいおい。変態の集まりかよ…」


 目を僅かに細め、広季は呆れ顔を形成した。若干だが、3人の許容範囲に引いてしまった。

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