目覚めると、そこは―――

 日光が眩しい。



 こんな角度から日が差し込んできたことなんか、あったっけ…?



 最初に感じたのは、そんな疑問。



 聞こえるのは鳥のさえずりと、さわさわと揺れる木の葉の音。

 遥か遠くでは、人が往来するようなざわめきも。



 おかしいな……

 車の音がしない……

 家って、こんなに静かな所だっけ?



 浮かんでは消える、小さな違和感。

 それに揺られて、徐々に意識が微睡まどろみから浮上していく。



「ん…」



 ゆっくりと目を開く。

 ぼんやりとした目の前に飛び込んできたのは、ベッドの天蓋てんがいだった。



「え…?」



 それを見た実は、パチパチとまぶたを叩く。



「ここ……どこ?」



 起きた早々、思考回路がパンッと弾けた。



 あれ?

 昨日、何があったんだっけ?



 反射的に記憶を手繰たぐろうとするも、一瞬で混乱してしまった頭では上手く思い出せない。

 結果起き上がることもできずに固まっていた実は、そこではたとあることに気付いた。



 ――― すぐ傍に、誰かいる。



 そろそろと、そちらに視線を向ける。



 その先から、大きな影が襲いかかってきて―――


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