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「宮本佑子・・ほんとに浩と同棲してるの?」

 夏実は布団をかぶり、闇に潜って身もだえた。

「だって、浩は、あたしと秀雄さんのこと、嫉妬してたじゃない? 顔を赤くして、嫉妬してたよね?」

 爪を噛んで、浩の言葉を思い出していると、半年くらい前、この家で二人きりになった時のことを思い出した。

 夏実が乙女の危機に怯えたあの時、

「おれは、本当に好きな、この世で一番の人にしか、そんなことせんけん」

 と浩は言ったのだ。

「あんたに、そういう人、いると?」

 と夏実が問うと、

「いるよ」

 と、はっきり答えた。

「どんな人ね?」

 と聞いたら、

「年下のくせに、生意気な娘」

 なんて言う。

「生意気なのに、いつから好きなの?」

「中学生の時から」

 そんな会話を強烈に覚えているのは、時々思い出して、もしかしたらその生意気な娘って自分のことじゃないかと、胸を熱くしたこともあったからだ。

 いつしか布団は涙で濡れていた。

「ああ、あたしの勘違いだったよお。あいつが中学時代から好きだった娘は、あの佑子だったんだ。輝くような色白で、目と鼻が大きくて、華やかで・・そういや、あの娘、生意気そうだったわ。やさしいあたしとは比較にならないくらい、生意気そうだった・・ちくしょう、それなのに、浩のやつ、彼女がいるなんて、そんな気配見せなかった。それどころか、あたしを好きなふりをしてた。間違いないよ。いつもあたしに、一途そうな雰囲気だったじゃない。なのに同棲してたなんて・・知ってたら、こんな気持ちにはならんかったのに・・こんなに好きに、ならんかったのに。きっとあたしの心をもてあそんでいたのよ。もう、許せん、許せん。あんなやつがこの地球上に存在するなんて、絶対許せん」

 キジトラ猫のミャアが、むせび泣く娘の枕元で目を光らせていた。













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