第152話――報告


「……そうか……」


 曽根そね部長は、相川あいかわからの報告を聞き、思わず溜息ためいきをついた。


「……まぁ、無理もない。……わかった。うちでは厳しいと、上に報告しておく」


 相川は何も言い返せず、窓の外を向いた。


 さっきカウンセリングを終えたばかりの高倉たかくら刑事が、うつむき加減で署を後にして歩いていくのが目に入った。


 その後ろ姿を見て、突然、相川が何かを思い出したように慌てた様子で、部屋を飛び出して行った。


「……! おい、相川! ……どうしたんだ!」


 呼び止める部長の声も気に留めず、彼は急いで階段を駆け下りて行った。

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