第141話――覚悟


 は、いつの間にか身を起こし、自分と顔を向けていた。


 それが何を感じているのか。

 何を思っているのか。


 そこから読み取る事は、およそ不可能だった。


 目も開けていなければ、口も動いていない。

 横に広く青白いその顔面がんめんから、血の気を感じる事が全くできなかった。


 由良ゆらの体には、もう逃げだす力は残っていなかった。


 その青白い手が、自分のかみつかんだのがわかった。


 その瞬間、彼は死を覚悟し、静かに目をつぶった。

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