第140話――一瞬の出来事
「……!」
何が起きたのか、わからなかった。
それは、倒れたままだ。
すぐ頭上で、黒のタイツ姿の
彼は
「ヘリが、こちらを確認した!」
由良は目を
土が露出したすぐ目と鼻の先で、そのものが、
動いている様子はない。
「今、ロープを下ろして隊員が下りている! 彼女を先に連れて行くが、すぐに戻る!」
松村はそう叫ぶと、気を失ったままの
由良は、また前を向いた。
あまりに一瞬の出来事だったので、状況を呑み込めていない。
目の前に、
彼がそれを拾い上げ、弾を放ったのだ。
それは、全く動いていない。
全身も血だらけだ。
……。
いや……。
あれは、返り血だ。
あらためて目を凝らした。
弾の当たり方が斜めに入ったせいか。
その特徴的な顔も確認できた。
はっきりと。
……。
弾は……
どこに当たったのだ?
由良はそれを確認できないまま、目を泳がせた。
ふと、背後の方で複数の声が聞こえた。
おそらく、ヘリの隊員が地上に無事着陸したのだろう。
由良は少し安心したように
すると、今度は前方から何かが聞こえた。
「ア―――――」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます