第124話――復元


「まだか……!?」


 ヘリの中で、相川あいかわ刑事はデータの復旧作業を行っている拓松たくまつに問いかけた。

 隣でラップトップに向き合っている彼は言った。


「……もう少しです。この一個だけ損傷がひどく、復旧するのに時間がかかっています」


 画面を見ると、ノイズだらけでほとんど見えない。


「……! 出てきました!」


 拓松が声を上げると、即座に相川が画面を覗き込んだ。


「……! よし、あとちょっとだ!」


 大容量を再現しきれないスマホ画面のごとく、少しずつだがノイズが除去され、上方からクリアになっていくのを二人は辛抱強く待った。


 一分ほど経過した後だった。


 ようやくその全貌が、明らかになった。


 動画データだった。


 そのサムネイル画面を見る限りは、木々の間から例の広場を撮影したものらしかった。

 拓松はそのデータを再生した。


 たった十秒にも満たない映像だった。


「……何だ……今のは……」


 二人の表情は凍り付いている。


 相川は目をしばたたかせて言った。


「もう一回!」


 拓松が慌てるように再生した。

 村上加絵むらかみかえが広場に着いてから、細切れで撮ったものの内の一つらしかった。


 そのに、二人は言葉が出てこない。


 PCを操作していた拓松が、焦点の合わない目で呟いた。


「……間違っていた……みんなに早く知らせないと……」

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