第101話――阻止


『犯人グループは、○○号線の道路を走行中。道路を封鎖せよ――』


 ヘリからの無線が入った。

 サイレンを流しながら、パトカーはトラックを追いかけた。


『―――止まりなさい!』


 警官がマイクで呼びかけたが、トラックは依然として百キロメートル以上の速度で、時折、強引に他の車を追い越しながら突っ切って行った。


 しかし、その先は神奈川県警との連携で道は封鎖済みになっていた。

 先で複数の機動隊が立ち、警官が銃を構えている。


『止まりなさい!』


 バリケードの後ろで、機動隊員がマイク音を響かせた。

 トラックはそれらの防塞ぼうさいを気にせずに、猛スピードで突っ込んできた。


「止まりません!」


「中に警官がいる撃つな!」


「……! よけろ――」


 減速しないままバリケードに突っ込み、そのまま突っ切るように見えたが、次の瞬間、バランスを崩し、激しく横転した。


 警官たちがトラックに駆け寄って行った。

 見ると、運転席にいた男は頭から血を流し、動かないままだ。


「おい! 荷台を開けろ、早く!」


 警官たち数名はトラック後方に走っていき、ドアノブを引き抜くように思い切り力を入れて開けた。


「……! おい! 大丈夫か!」


 ライトで中を照らした。

 荷物一つさえも見当たらない。


 上空の彼方で、ヘリの音が聞こえた。

 それは、すぐに小さくなって聞こえなくなった。

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