第94話――音信仰
「
島で獲れたものだろうか。
「ええ。竜宮の事件を調べまして」
入浴を終え、浴衣姿になっていた
ほんの
九十九はグラスを手に持ったまま、それとなく問いかけた。
「運転手さんから聞いたのですが、
すぐに明るい笑顔に戻ると、女将は言った。
「あぁ、あれは、ただの迷信ですよ。昔からこの島に住んでいる人たちの……」
あまり触れたくないのだろうか。
話を終わらせたいかのような彼女の様子に気づき、九十九は少し話題を
「住んでいる人たち? ここの出身の方では?」
すると、女将は控え目に手を横に振った。
「いいえ。私は本土から嫁に来たんです。元々、この辺りは農家ばかりで、一面、山や畑ばかりだったんですよ」
「じゃあ、旅館というのも?」
「ええ。私の代からなんです。この辺りの宿屋は、みんなそうですよ。
九十九は関心を装う様に
「へぇ……元々この島に住んでいる方達は、もういないんですか?」
「いえいえ、義母がここ出身です。でも、大分少なくなってきてますね。この音秘目郡では
「御子郡?」
「
「へぇ」
ビールを口に含み、九十九は話の続きを聞いた。
「今いるこの区域が『
最後のところで、少し女将の表情が
彼女は言葉を選ぶように話を続けた。
「その『
「……どんな信仰なんですか?」
「まぁ、どこにでもよくあるような神話伝承ですよ」
そう言うと、女将はその言い伝えを語り始めた。
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