第80話――島の共通点

 

 高倉たかくら松村まつむら夫人の現れた区域の防犯カメラを調べ、彼女の行き先を辿ろうとしたが、途中で行方がわからなくなっていた。

 

 不思議でしょうがなかった。

 

 ミナカメディカルワークと名乗る会社は、何故それほどまでにしてを欲しがるのか。

 

 そして、何故それを自分達で手に入れようとせずに、わざわざリスクの高い刑事に頼んだのか。

 

『石に触れるな』


 九十九つくもの言葉を思い出した。

 

 まさか……。

 

 彼らは、自分たちが、松村刑事に頼んだとでもいうのか?

 

 仮にそうであるとすれば、一体その石に何が……

 

 ウィルス……? ――!

 

 ふと、思い浮かんだ。

 

 西野裕子にしのゆうこ。最初の被害者だ。


 解剖の結果、彼女の体から検出されたものは――

 

 ……


 もしそうだとしたら、松村刑事は、今……

 

 高倉は九十九のアドバイス通り、御子島みこしまに関連する会社を調べてみた。

 漁業、リゾート関連、造船、温泉……多くの法人名が出てきた。

 調べていくうちに、が浮かび上がってきた。

 

 どれも、町議会議長である三船洋二みふねようじが出資をしている企業ばかりだ。

 

「……石」


 さらに高倉は、御子島のに関わる企業を調べた。

 すると、その業務のほとんどをこの十五年近く請け負っているのが、『㈱安田文化財コンサル』という企業だった。

 

 概要を見ると、主に発掘を請け負う会社で十五年前に設立されていた。

 資本金三百万円の小規模な、都内に事務所を構える企業だった。

 高倉は社長名をメモした。

 

安田利一やすだりいち……」

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