第57話――五十年以上前の真実


 溜息を漏らすと、半田はんだは語り始めた。


「……五十年以上前に、ある一行がの頂上目指して登ったんです。翌日、メンバーの家族からまだ帰って来ないと連絡が。遭難した可能性があると。警察と消防隊が山に入り大人数で捜索しましたが、見つからなくて。結局、行方不明のまま捜査は打ち切られました。ただ更に、不可解な出来事が……」


 半田は言いにくそうに口を噤んだ。


「……何です?」


 九十九つくもが問い返すと、半田は上目遣いで彼を一瞥いちべつし、話を続けた。

 

「捜索した警察官が次々と亡くなっているんです。


「……どういう死に方です?」


 無口な由良ゆらが表情を変えずに訊き返した。

 半田は唾を呑み込むと、彼の方を向いて答えた。

 

「……急に…………」


 九十九と由良がまた視線を交わした。

 半田は二人の顔を交互に見つめながら尚も言った。

 

「島の人達はあそこを、と呼ぶようになって……。以来、誰も近づかなくなりました」

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