第45話――再会


 その噂を聞いても、早紀さきにとってはピンとこなかった。

 由良ゆらとは隣り同士で普通に会話をしていた。

 

 確かに他の子とは違った。

 霊、宇宙人、ユーフォー、それらについての話題になると、彼は本当に楽しそうに語り始めた。

 

 早紀はそんな由良少年に対して不気味がるどころか、逆に頼もしく感じていた。

 彼女にとっては、他の子達のように彼を嫌う要素が見当たらなかったのだ。

 

 しかし中学に入ってからは、


 彼に対するイジメが顕著けんちょになり始めた。


 孤立した彼は自ら周りを遠ざけるようになった。

 早紀が挨拶しようとしても目をらし、ようになったのだ。

 

 そして、彼女自身も無意識に彼を避けるようになってしまった。

 今でも早紀はその罪悪感にさいなまれていた。

 

 急に他人になったように……。

 ……。

 

 今は東京で探偵事務所をやっていると、周りの友人づてで聞いた。

 やはり、専門の仕事をしていると。

 

 しかし、まともに話すのは小学校以来だ。

 

 いや……


 ……。

 

 いじめられていた彼を、――


 早紀は携帯を耳に当てながら、だんだんと胸の奥底辺りから罪悪感が湧いてくるのを感じた。

 

(助けてもらったのに……)

 

 次の瞬間、相手が出た。

 

「はい。由良ゆらです」


 二回コールもなかった。

 あまりに早い対応に、思わず頭の中が真っ白になった。


「……あ……あの、私……」


 必死に見失った言葉を取り戻すように、


「……谷口早紀たにぐちさきといいます! 小学六年の時、クラスが同じの……憶えていますか?」


 どもりながらも、振り絞るように言った。

 

「谷口さん……? どうしたんですか?」


 あまりにに、早紀は完全に拍子抜けしてしまった。

 

「あ……あぁ……そう……谷口です……。小学校六年の時、同じクラスだった谷口早紀です」


「何かあったんですか?」


 早紀の戸惑いなど、全く意に介さないように由良ゆらの声には抑揚よくようがなかった。

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