第31話――新たな真相
『警視庁世田谷署刑事部勤務の
刑事部のテレビを見つめながら、
「……彼らは確かに昨日までいた。……それなのに、全て嘘みたいに消えていなくなった……」
彼は
松村と彼の
一家の消息はいまだわからず、何の手がかりも
無理もなかった。
彼の自宅からは家具どころか、指紋一つ検出されなかった。
まるで、最初からそこに存在していなかったかのように。
かろうじて残されていたのは、彼のデスクに入っていた仕事に関する書類だけだった。机にはしっかりと指紋も残されていた。
それらを手掛かりに、九十九と高倉は足取りを辿ろうとした。
彼と彼の妻の実家にも捜査は及んだが、本人たちからの連絡は依然として全くなかった。
ここ二週間の彼の銀行口座の動きを調べた。ちょうど失踪した日を境に、引出しなどの動きがピタリと止まっていた。
石に触れた次の日に、彼とその家族が失踪した。
探偵の
「製薬会社?」
サイバー捜査部の
「ええ。
「……意図的って」
背後に立っていた
九十九は険しい顔つきで首を横に振った。
「……ここ最近、そんな案件扱ってなかった。一体何のために? 俺に黙って、あいつは一体何を調べていたんだ?」
すると、福留は少し鼻で溜息を漏らしながら、
「……ちょっと、これは信じられない話ですが」
と、言い掛けた言葉をつくんだ。
「……何だ……?」
九十九が
福留は言いづらそうに口を開いた。
「……これは、過去の犯罪者や違反者を検索する警視庁のデータベースなんですが、そこに
「……それが何だってんだ? 許可IDを持っているなら、俺でも入れるだろ」
九十九が眉を
「彼が検索していたキーワードです」
刑事二人は画面に顔を近づけた。
そこに見覚えのある名前が並んでいた。
『西野裕子、山下正美』
それらを見て、九十九はまた訊き返した。
「だから……? 一連の事件を調べていたんだろ」
すると、福留はこちらを振り返って言った。
「いいえ。それは、ありえません。彼が検索していた時期は、彼女達が亡くなる一週間前です」
両者の間に沈黙が流れた。
刑事二人は、意味がわからないといった様子だ。
「……何だって? ……まさか……そんなこと……」
九十九の言葉を呑み込むように、福留は尚も言った。
「つまり、松村刑事は、事件が起きる前から彼女達を知っていたことになります」
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