千尋さんへの思いが爆発する

 昨日千尋さんの部屋を覗いたら、彼女の着替えは済んでいた。

だったら脱衣所を覗けば、絶対あの人の裸が見られる…。


でもそこまでやってバレたら、間違いなく嫌われるな。

バレなきゃ問題ないけど、昨日のように気付かれるかもしれない…。


今なら引き返せるけど…、どうする俺?



 夕食を済ませたので、悠真君は風呂に入っている。今後どうするかは、彼の部屋に1人でいる今決めよう。時間はたっぷりあるから、慌てる必要はない。


俺がこの家に居候してるのは、母さんが新種のウイルスに感染して自宅待機してるからだ。母さんが完治すれば、居候する理由がなくなる。


俺と悠真君は友達だから、気軽にこの家に泊まれるかもしれない。

だが家が隣同士だ。母さんか千尋さんが、泊ることに異議を唱えるかも?


そうなると、確実に千尋さんとの距離を縮められるのは今しかない。

行動しないと絶対報われないんだから、やったほうがいいだろう。


…よし、考えはまとまった。悠真君が戻ってくるのを待とう。

俺は部屋の扉を見たんだが…。



 「慎吾君、ずいぶん深く考えてたね」


声がしたほうを見ると、悠真君が部屋内にいた。

彼の部屋だから当然だが、いつの間に戻ってきたんだ?


「ああ…」


「僕が入ってきても微動だにしなかったから、声をかけなかったよ」


俺がという行動を起こしたから、声をかけたのか。


「そうか…。悪いな、気を遣わせて」


「気にしないで。慎吾君は、母さんとの関係をどうするかで頭が一杯でしょ?」


図星をつかれてしまった。


「そうだな…」


「なら、今できることを頑張ってやってよ!」


悠真君に背中を押される俺。俺がやったことを、悠真君も俺の母さんにやるのは聴いているが、それでも嬉しい。


「ありがとう。そうさせてもらうよ」


悠真君が風呂を出たので、次は俺の番だ。さっそく風呂場に向かおう。



 風呂を済ませ、悠真君の部屋に戻ってきた俺。最後は千尋さんになる。


俺は部屋の扉をちょっと開けっぱなしにして、音を拾いやすくした。

千尋さんが脱衣所に入った瞬間、すぐ向かわないと。


悠真君は、扉が開いていることに何も言わない。

俺が何をしたいかわかっているかもな。



 脱衣所の扉が開く音がした。急いで向かわないと。

俺は悠真君の部屋を出て、忍び足で脱衣所前の扉に行く。


…音を出さずに、扉をちょい開けする。良いぞ、中が見えるし気付かれてない。


覗かれていることを知らない千尋さんは、服を脱ぎ出す。

初めて会った時から若々しさに驚いたが、スタイルも凄い。


本当に子ども1人産んだのかよ? 信じられないぜ。


全裸になり風呂場に向かうと思ったが、バスタオルを体に巻きだした。

その後、勢いよく俺がちょい開けした扉が開かれる。


「慎吾君! いい加減にしなさい!!」


気付かれたか…。こうなる可能性は考えてたんだ。

今更気にすることではない…。


「どうしてこんな事するの?」

千尋さんは、軽蔑の眼差しで俺を観ている。


それだけのことをしたんだから当然だな。



 「俺、千尋さんのことをもっと知りたくて…」

紛れもない本心だ。


「私のことを?」


「はい。その気持ちがエスカレートして、千尋さんの裸を見たくなったんです」

我ながら、恥ずかしい事言ってるな。けど正直に言わないと千尋さんに伝わらない。


「私のようなおばさんの裸を見たいなんて、信じられないわね。慎吾君ぐらいの子は、もっと若い子に興味があるはずよ」


「確かに同級生はそうです。ですが俺は違う。俺は千尋さんぐらい年上の女性がタイプなんです。母子家庭なのが影響してるかもしれません」


「……」

黙って俺を観ている千尋さん。


さっきと違い、軽蔑してるようには見えない。

ここは攻めたほうが良いか? …いや、守りに入ったほうが良いかも?


悩むが、そう時間はかけられない。どうしよう?

…決めた、攻めよう。ここまで正直な気持ちを言ったんだ。


何をためらう必要がある?


「千尋さん。あなたのこと、もっと知りたいです」

俺はバスタオル越しに、片手で千尋さんの胸に触れる。


「ちょっと!?」

驚いた様子は見せたが、特に何もしてこない。


これは可能性アリかも? 今度は両手で軽く揉むことにした。


「慎吾君、やめて…」

弱々しい口調の千尋さん。


ここまで受け入れているんだ。OKって事だろ?

千尋さんが本気を出せば、俺を払いのけることぐらいできるはずだからな。


「これ以上情けない姿は、悠真に見せられない…」

感じているみたいだが、何とか面子を保とうとしている。


なるほど。頑張っているのは、悠真君がいるからか。それを崩せば…。



 「実は…、悠真君は俺の母さんがタイプなんですよ」


「…え? 綾香さんを?」

信じられない様子の千尋さん。


「そうです。俺達4人が同じ境遇なのは、千尋さんも知ってますよね? だから悠真君も、年上の女性がタイプになったようです」


「……」


千尋さんの表情を見る限り、納得しているようだ。

俺がこうなったんだから、悠真君もそうなってもおかしくない。


「俺が千尋さんに気があるのは、当然悠真君は知っています。だから、彼のことを気にする必要はないんですよ♪」


今度はバスタオル越しに、胸の先端をつまんでみる。


「んっ♡」

喘ぎ声が少し漏れたな。


「続きは、千尋さんが風呂から出た後で良いですか?」

いつまでもバスタオル姿でいたら、風邪をひいちゃうかもしれない…。


…千尋さんは恥ずかしそうに、黙って頷いた。


母子家庭ってことは、する機会がないことを指す。

一度スイッチを入れれば、何とかなるもんだ。


「では、ごゆっくり」

俺は脱衣所を出た。



 初めて千尋さんに会ったあの時から、こうなることを望んでいた。

やっとそれが現実になるぞ…。


千尋さんの部屋で待機する前に、悠真君に報告しないとな。

俺は彼の部屋に向かう事にした。

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