012_世界終焉ボタン/古魚

 作品リンク:https://kakuyomu.jp/works/16817330648240294766


 ・愚弟の感想

 大統領の構成要素は「水35L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素、及びその個人の『遺伝子の情報』」です。

 つまりはただの人間です。

 権力があろうが、富や名声があろうが、結局のところひとりの人間です。

 戦争という大きなものの前では、どれだけ力を持つ支配者であろうが個人に成り下がるということがよく表現されていました。

 前回参加作品での課題である感情を読者に伝えることがかなり上達していることが分かる力作で、その急激な成長には目をみはるものがあります。

 一点言うとすれば、大統領の威厳や凄さについてしっかりと実感できる部分があれば、失墜して個人に成り下がる部分の悲壮感がより伝わるのではないかと思います。


 ・小山の感想

 非常によくできている。

 大統領の決断とその責任、そして変わってしまった世界について、よくよく考えられている。

 また、大統領の悩みなどが、ある種等身大に描かれているのも面白い。

 どれだけの影響力を持つ人間でも家族がいて、日々を悩んで生きているという当事者感をよく演出できている。

「思考」が飛び散ったの一文も、この7000字近い作品でそこだけに文章表現を集中させることで、より際立つものとなっている。

 ただ、核戦争に対する表現が迂遠なものしか存在しないので、そこをもう少しだけ鮮明に書いてもよいかとは思った。

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