第10話 戴冠式への1歩

私たちは少し時間が掛かりながらも予定通り聖都であるシエロへと辿り着いた。シエロも確かにこの戦の被害を受けていた。しかし周りと比べれば多少はマシだった。


「リナ。指示をくれ」


兵士である1人が近寄りそう告げてきた。私はにこりと笑みを浮かべ頷いた。


「これより大聖堂へ向います!そこで王太子様の戴冠式を執り行います!」


「敵国の兵士はどうする?」



「倒して構いません。王太子様に危険が及ぶ可能性は全て排除します」



「っしゃあ!」


「この国は俺たちが守るんだ!」


兵士達は口々にそう告げ私は笑みを浮かべ剣を抜き天へと掲げた。


「この国の栄光の為に!皆さん行きましょう!」



その言葉に兵士達は力強く頷き声を上げた。私はその声を聞いたあと戴冠式を行う教会へと向かった。その時一瞬だが首筋にゾワリと鳥肌が立った。



その時は知らなかった。裏切り者の存在にもどうしてこんなにも順調に物事が進んだのか。この戴冠式でこの国の…私の運命がガラリと変わってしまうだなんて誰が予想しただろうか__?

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