第7話 王国軍での生活 そして



王太子の計らいで私は女ながらに王国軍への入軍を認められた。初めは「女に何が出来るんだ」「力も弱いのに……」と陰口を叩かれた。でも私は諦めたくなかった。彼らが扱う剣を私も扱えるように訓練もして扱えるようになった。でもまだ足りない。この国を守る為にこの国を導く為に。


「おーいリナ!そろそろ休憩しろー」


「……ダメだ聞こえてねぇ。なんであそこまで頑張るんだ?」


「さぁな。なんでも王太子様に啖呵きったって噂だぜ」


「まじかよ。」 そんな言葉を聴き私は小さく息を吐き「本当ですよ。その事。」と振り向き彼らに告げた。彼らの少し驚いた顔に私はクスリと笑みを浮かべ「この髪だってそうですよ」とあの日切った髪に触れながら告げた。


「王太子様の前で切ったんだって?」


「えぇ。あの人が切れるかと聞いてきたので。それに長いと……邪魔ですから。」


「お前……女なのにすげぇよな。」


「それはどうも。」 そんな事を話しているとドォンと低い音が辺りに響いた。その音から数分遅れて「報告します!ここから数キロのリムライム拠点が……!」その先の言葉を兵士は言わなかった。私達は目配せし近くにあった馬にすぐ飛び乗った。



馬で走り数時間後、私たちは目的の拠点リムライム拠点へとたどり着いた。そこで見た景色は一面赤色だった。「っ……酷い……」その言葉しか出なかった。私は馬から降りて当たりを見回した。


「……誰か!誰か生存者は居ますか!援軍に来ました!誰か!」


「っ……おいリナこの状況だ。生存者はいない。」


「でもっ……でも……!」


「しっかりしろ!まだ敵国の軍が居るかもしれない状況下で馬から降りるな!」 兵士の1人からの言葉に私は目線を下にしたあとすぐに彼を見つめてこくんと頷いてみせた。私は馬に飛び乗り「フランシア王国軍!この拠点は放棄します!これよりハラルーニへ向います!私について来て下さい!」と告げた。すると兵士達は一瞬お互いを見渡したあとにっと笑い「「おぉー!」」と声を張り上げた。

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