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 帰省から戻ると、ルームメイトの髭が伸びていた。部屋の散らかり様を見るに、休み中ほとんど部屋を出ずに過ごしたのだろう。


「どうしても解けない問題があって」


 煮詰まった珈琲を飲みながら彼は言う。

 大学の数学科で出会った彼は、本物の数学バカだ。若き天才と言われている。そんな彼が羨ましく、少し妬ましい。俺はかけがえのない友人である彼のために、新しく珈琲を淹れた。

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