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卒業式のあと、僕の名を呼ぶ声がした。人混みを掻き分けてきたのは佐山だった。
「賀川、いままでありがとうな。高校生活、おまえのおかげで楽しかったわ」
佐山は笑顔で右手を差し出した。僕が欲しかった彼の学ランの第二ボタンはなかった。
「僕こそ。ありがとう」
彼は遠い街の大学に通うらしい。もう会うこともないだろう。握手をした手の温もりは、僕だけのものだ。
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※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。
Day 30:握手
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