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「それは何だ?」


 幼い主人は、私の持つ箱に興味津々のようだ。跪き、箱の中身を見せる。


「私の故郷に代々伝わる薬草です。夏至の夜にこの葉を浮かべた湯で体を清めるのです」


 褐色の肌が差別されていた時代の名残だった。白い肌の主君は顔を輝かせる。


「僕も入りたい。いいか、サルー?」


 もう若い世代に差別意識はほとんどない。良い時代になった。私は主人に笑みを返す。


「勿論です。マイロード」


 

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※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。

Day 29:名残

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