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 心臓が太鼓のように速く、低く響く。槍を握る手に汗が滲む。炎天下、タータンが揺れている。

 槍投げがマイナー種目だなんて、わかってる。観客は人気のトラック種目を見に来てる。肩まわりが大きくなって、可愛い服なんて着れない。でも、それでも私は。


 名前が呼ばれる。大きく息を吐いて、遠くを見つめて、助走を始める。


 もっと、もっと遠くまで。

 思いきり、槍は放たれた。


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※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。

Day 31:遠くまで

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