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コーヒーゼリーを食べる先輩の真剣の表情に、心臓の音が早まる。いつも試食の瞬間は緊張する。
「うん。甘くなくていいね、コレ」
褒められてホッとすると同時に、ずきん、と胸が痛んだ。ずっと憧れていた先輩は、これで安心してパリへ留学してしまうだろう。
「もう俺がいなくても大丈夫だな」
コーヒーゼリーを食べた私の舌にも、苦味が微かに残った。
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※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。
Day 20:甘くない
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