215

 補習の教室に静かに響く。


「先生、好きです。本気なんです」


 目の前の机に座る女子生徒は、顔を真っ赤にした。私は聞こえないフリをして、教科書に目を落とす。


「早く問題を解きなさ……」


 刹那、彼女は私のネクタイを力強く引っ張った。彼女の薄い唇が私の唇に触れる。

 その拍子に、ネクタイがするりと解けた。


--------------------

※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。

Day 15:解く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る