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「ほら、これを着て」


 お母さんは夏用のワンピースを私に差しだした。何も言わず、袖と胴を通す。それは死んだ姉のお下がりだった。


「似合うわ」


 姿見に映る私の姿を見て、お母さんはにっこりと笑って背後から私の肩に手を添える。お母さんは私を見ていない。そして私も、お母さんを見ていない。


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※綺想編纂館 朧(@Fictionarys)様主催の小説企画「文披31題」参加作品です。

Day 14:お下がり

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