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「ほら、お母さん。見て!」
息子のアランが指を差したほうを見ると、飛行船がゆっくりと空を泳いでいた。雲の流れに乗り、山の上を越えていく。
「いつか飛行船の操舵手になりたいなあ、僕」
飛行船事故で死んだ父親のことは話したことがないのに。アランはあの人と同じ、空に焦がれる目をしていた。私はアランの手を強く握り締め、家路についた。
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