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「父さん、もう帰ろうよ」
登山道の七分目。息子の額には柔らかな前髪が汗で張り付いている。
「ここまで頑張ったんだから、頂上まで行こう」
私自身も父に連れられて山に登ったことを思い出す。やけに大きかった父の背中。頂上の景色。あのとき父からもらったものを、息子に渡したい。まだ小さく華奢な背中を叩くと、息子はまた一歩ずつ登り始めた。
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