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「なにこれ?」


 娘が古い菓子缶から取り出したのはエアメールの束だった。宛名には母の名が、送り主には父の名が書いてある。


「海外に送る手紙よ」


 生まれたときから電子メールが普通だった娘は、不思議そうにその束を見つめていた。

 父が息を引き取り、後を追うように亡くなった母。海に隔てられていた二人がいまは空で一緒にいてくれることを私は願った。

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