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依頼人である 上品な佇まいの婦人は、目の前に座り、静かに語る。代筆屋になって五年。依頼人が大切な人へ語った言葉を紙に一文字ずつ丁寧に写し取り続けてきた。その声が紡ぐ文字の丸みは? 太さは? 傾きは? 想像しながら、私は万年筆を走らせる。
「事故で手が動かなくなったの」
遠くに住む人への手紙だという。私は手紙に、依頼人の涙声を綴り続けた。
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