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「素晴らしい」


 老人は乾いた頬を紅潮させた。粘ついた眼光で絵画の隅々まで見回している。


「君の絵は良い。高く買うよ」


 礼を言うと、老人は覚束ない足どりで部下を引き連れて部屋を出て行った。誰もいなくなった部屋で私は独り、息を吐く。


「何もわからぬ老害が」

 金欲しさに自身の信念を曲げて描いた裸婦が、額縁の中で愚かな私を嘲笑っていた。

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