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 私は木材を目の前にして、彫刻刀を手に取った。指で木材を押さえつけながら、狙いを定めて木肌に刃先を滑り込ませる。

 ずりり、と、彫刻刀に持ち上げられた部分が反り返る。一回転した木片がぷつりと途切れ、机に落ちた。

 それを何百、何千、何万と繰り返す。木材の中に埋まった、自分の姿を見つけ出すために。

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