42

 私は何とか車を草むらに停めた。ドアを開け、うなだれるようにして車を降りる。息が荒くなる。ヘッドライトに照らされた草むらに足を滑らせそうになりながら、なんとか歩を進める。苦しい。逃げたい。周囲は闇に包まれて、前後不覚になった。


「怖いのか? 自分が」


 頭の中で声がした。私の叫びは、森の深い闇に吸い込まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る