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「おい、トラックが来たぞ!」


 親方の声が暗闇の向こうから聞こえた。汗をぬぐいながら、「はい」と大声を張り上げる。トラックのヘッドライトで田んぼの畦道が照らされると、そこには役目を終えた花火筒が満足そうに並んでいる。観覧席へ視線を移すと、大勢の人々が笑顔で話しながら屋台の方へと消えていく。祭りのあとは、暗闇の中でその風景を見るのが俺の楽しみなのだ。

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