第30話 地上 5
『これは凄い量の魔水晶だ。けどあの箱庭程の量は無さそうだけど』
「たぶん、幾つか分散していると思うよ」
なるほど。
「それでルカ君、これでお婆様やお母様の事が分かるの?」
『たぶん、自信はないけど僕の考え通りに出来ればね』
「・・・・うん、ルカ君に任せるね」
『じゃあ、僕をその魔水晶の中に降ろしてくれる?』
「分かった」
ミルルカは地面から突き出ている魔水晶の上を僕を抱えたまま軽々と飛び上がると、軽やかにステップを踏む様に移動してほぼ魔水晶の広場の真ん中に降り立った。
「ここで良い?」
『うん、ありがとう。それじゃあここに降ろしてくれる?』
「あ、うん。いいよ」
ゴツゴツとしている魔水晶の中でも比較的平らな場所を選んで僕を降ろしてくれる。
よし、後は実戦してみるしかない。
先ず僕の属性は聖属性と光属性は持っているみたいだ。
治癒と防御の魔法が無意識で発動するくらいだから聖属性は間違いない。
後は光だけど、ミルルカの危機を感じ転移した時に異常な光が出ていた。
魔王さんの知識でも具体的な事は分からないみたいだけど、あれは光属性の無属性が関係していると思うんだ。
まあこれは使った僕本人の感覚的なところはあるけどね。
で、光属性を持っているなら、あの時ミルルカが出したライトの魔法も使えるはず。
そしてこの魔水晶、あの地下深くまで地上の太陽光を届けている。
つまりこの魔水晶は光ファイバーみたいな役割を持っているんじゃないだろうか?
と思ったわけ。
そして光を操作出来れば、いわゆる光通信が可能じゃないかと?
まあ、そう簡単に事は進まないだろうけど、やってみる価値はあると思う。
『先ずは光』
僕は掌を足の間の床になっている魔水晶に当て、光を放出するイメージを作った。
『・・・・・・ライト』
あ、出た!
「ルカ君! ライト?!」
『うん、出来た! これを掌から放出し続けて・・・それからその放出を一定方向へ向ける様にすると・・・お?』
透き通る魔水晶の中をあちこち曲がりながら光のラインがはっきりと下に向かって降りているのが見えた。
『よし! ここまでは成功! 今度はこの光に僕の意識を流す様にして光の道に乗せる・・・・・』
んんん? 暗い? 何か頭の中に映像が写っている様な気はするんだけど、真っ暗で何も見えてこない。
どういう事だ?
・・・・・・・・・・・・・あ、もしかして光量が足りない?
『ミルルカ、僕の掌の上に手を重ねてライティングの魔法をなるべく強いイメージで放出してみて。ただし継続的にだよ。途切れない様に』
僕の言葉に首を傾げているから理解出来ていないみたい。
『大丈夫。これで地下の様子が分かると思うから』
「・・・・うん、分かった。ルカ君が言うんだもん間違いないよね」
凄い信頼感・
失敗した時の言い訳を考えておいた方が良いだろうか?
ああ! もうそんな事は考えない!
ミルルカの準備が整ったのを確認して、もう一度光を魔水晶に通して放出させた。
今度はミルルカも入れたから光量が増えてる。
『これで意識を乗せて・・・・あ、砂嵐・・もしかして昔のテレビの画像を映す前の砂嵐状態か?』
よしこのまま・・・・・・・・・
『見えた!』
「本当!?」
『うん、でもここって・・・・あ、箱庭だ!!』
ビンゴ!
この地上の魔水晶、奈落まで繋がってたんだ!
「ルカ君! どうなの? 皆は無事?」
『ちょっと待って・・・この辺りは特に無事みたい・・・誰か・・・あ!!』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます