第20話 異変 3
『お風呂にやって来ました!!』
まさかこんな地下にお風呂、しかも天然温泉があるとは思ってもいなかった。
しかも岩風呂!
かなり大きい。
幅が20メートルくらいあるんじゃないか?
大小様々な岩がグルリと囲み、一番奥の岩で囲まれたところから常に湯が沸いて出ている。
洗い場は平石が敷き詰められているから歩き易くなっているし、横には小川? が流れてる。
ああ、たぶん温度調整用の水を入れる為か。
かなり作り込んでるな。
日本人だった僕としては凄く嬉しい・・・
「ィヤッホー!!」
「バシャーンンン!!!」
「こら!! ミルルカ!! あんたが飛ぶと異常にお湯が飛ぶから止めなさい!!」
ミルルカ、今20メートルくらい飛んでなかった?
改めてミルルカの身体能力の高さに驚くけど・・・・あんな飛び方したら・・・
「こら! ミルルカ! 女の子なんだからもっとお淑やかに入りなさい!! 一応赤ちゃんは男の子なのよ! 今絶対に見えてたわよ!!」
つい、見てしまった・・・いや! 見たかったわけじゃないよ?! ミルルカが勝手に僕の上を全裸で飛び越えたから・・・・・・ダメだ脳裏に・・・
「あら、赤ちゃんの顔が真っ赤になって・・・ふふ、何も着けていないミルルカはどうだった?」
『そんな事、聞かないでえ~!! 恥ずかしくて死にそ~だよ!!」
「どうしたの? 赤ちゃんさん。顔が真っ赤だよ?」
僕が恥ずかしさに悶え苦しんでいると、湯船からいつの間にか上がって来たミルルカが僕のすぐ側まで来ていた。
僕はミルルカ言葉に反射的にそっちを向いてしまっった。
「?!! A?!」
『何で! 素っ裸なんだよ!』
「うぎゃ! ぎゃっぎゃんあ!」
「うふふ! ミルルカ、赤ちゃんはあなたの裸が気に入ったみたいよ?」
『違う!! それわざと言ってるでしょエルカ母様さん!!』
「本当?! 嬉しいな、赤ちゃんさんをこっちにおいで」
狼狽えている僕をよそにミルルカはエルカ母様さんから僕をうけとると、何も着けないその体に僕を密着させてきた。
「どう? 母様より良い?」
一体何が良いんだ?!
ダメだ変な想像と妄想しか頭に浮かんで来ないじゃないか!?
「よし! 私が体を洗ってあげよう!」
そう言うと湯船の近くの洗い場に移動して、その場にペタンと胡座をかいて座ったミルルカは僕を胡座の上にポンと座らせた。
「母様、石鹸を貸して下さい」
「はい、ちゃんと洗ってあげるのよ」
「任せて!! 徹底的に洗ってあげる!」
「じゃあ、私はあっちに行ってるから、赤ちゃんの事はミルルカにお願いするわね」
ちょっと!! この状況で二人きりにさせるんですか!?
どんな顔してミルルカを見ればいいの?!
ああ! 魔って母様さん!
「なんじゃ? エルカ、もうあがるのか?」
クルカ婆様さん!? 良いところに!!
「お婆様、若い二人の邪魔をしちゃダメですよ」
「いや、わしも赤ん坊を洗いたい・・・お! なんじゃ!? 引っ張るでない!」
「まあまあ、後は二人に任せて、ね?」
クルカ婆様さん! 待って!!
「いやしかしじゃな・・・」
「良いですから行きますよ」
頑張って! クルカ婆様!!
「わかったから引っ張るでない!」
あああ! ちょっと!
「さあ!! 赤ちゃんさん二人で洗いっこしよう!!」
あ! こら! どこに密着させてるんだ!
「暴れないの! 擦れるからね♪」
そんな可愛らしい声で言わないで!!
その日はある意味地獄で、ある意味天国でした。
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